苦手な人とは、どのような距離感で接するべきか。精神科医の藤野智哉さんは「『平等に接する』とか『誰とでも仲良く』と学校で教えられてきたかもしれないが、これらは実は嘘である。いじめを受けた子はいじめた子と仲良くはできないし、そんなことをしたら、その子がいちばん大切な『自分』と仲良くなれなくなってしまう。グループの中で一人だけと距離をとるのが難しい場合、グループからはずれるのも1つの手だ」という――。
※本稿は、藤野智哉『「そのままの自分」を生きてみる 精神科医が教える心がラクになるコツ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
正面から受け止めなくていい言葉
本稿は、つらさや悩みのもとになりがちな「他人とのかかわり」についてのお話です。しんどさや悩みの要因は、ついつい「他人の目」を気にしていたり、他人と比べてしまっていたりするから、ということも多いのではないでしょうか。
「それでいいの?」などと人から言われて傷ついたり、まわりの行動を見て「みんなできているのに、私はできてない」と悩んだり。
「他人を気にしすぎないこと」について、本稿ではお話しできたらと思います。
たとえば、「机の上がけっこう汚いよね」「最近、太ったんじゃない?」とズケズケ言ってくる同僚がいたとします。
そのとおりだけど、そんなふうにストレートに言わなくても、とモヤモヤが止まらない……なんてことありますよね。
世の中には、正面から受け止めなくていい言葉があります。
これを知っているだけで少し自分の受けるダメージを減らせると思います。
世の中にいるすべての人が、気配りができるとはかぎりません。
なかには相手の気持ちがわからない人もいるし、ひょっとしたら嫉妬で言っているかもしれない。別のことで機嫌が悪くて、八つ当たりで言いやすい人に言っているだけということだってあります。
そのうえ、「最近、太ったんじゃない?」と言ってくる人の言葉をストレートに受け止めてダイエットしたとしても、「その色の洋服、あんまり似合ってないね」「シミが増えたんじゃない?」なんて、さらなるネガティブな指摘をしてくることも十分ありえます。
こちらのできることは「真に受けないこと」です。