部下の怠慢に目をつぶることは上司の怠慢以外のなにものでもない。何の貢献もしていないのに何の罰も与えない上司の下では、真面目な部下も手を抜くようになり、やがてチームを去るだろう。

ただ乗り屋、役立たず、居候、ごくつぶし。マネジャーなら誰でもどこかの時点でこの手の社員を部下に持ったことがあるだろう。

ギャラップ社が過去10年にわたって行った広範な調査によると、ろくに仕事もせず、他人の労働にただ乗りしている同僚ほど、社員のエンゲージメント(参画意識)を蝕むものはない。

「エンゲージメント」は利益に重大な影響を及ぼす概念だ。たとえば、エンゲージメントが最も高い作業チームは最も低い作業チームより生産性が平均18%、利益率が平均12%高い。また、エンゲージメントの低い社員が大勢いる事業所は、高い社員が大勢いる事業所より離職率が51%高くなっている。離職後の穴を埋める費用を考えると、エンゲージメントの低さが事業所の収益性に与える影響は明白だ。

チームにとって最悪の組み合わせの1つが、怠け者とそれに対処する気骨のないマネジャーである。チームにただ乗り社員を抱えているマネジャーはその問題を解決するために迅速に断固として行動する必要がある。

本稿では、多種多様な業種を対象に114カ国で10年以上にわたって行われたギャラップ社の調査を基に、ただ乗り屋がチームのモチベーションや生産性に及ぼす悪影響を理解し、正すための枠組みを紹介する。