例えば、「オンライン飲み会緊急脱出マシーン」。頭の中に浮かんだ不必要な物を何とか作り上げる「無駄づくり」をしている藤原麻里菜さんは、元吉本芸人。肩書はコンテンツクリエイター、文筆家で「株式会社無駄」の社長を務める。SNSのフォロワーは50万人超で、動画再生回数の累計は4000万回超を誇る。なぜ無駄づくりを始めたのか、どんな発想法なのか。「プレジデントFamily」編集部が取材した――。

※本稿は、『プレジデントFamily2023秋号』の一部を再編集したものです。

なかなか大型な装置「イヤホンを絡ませるマシーン」の横で。
出典=『プレジデントFamily2023秋号』
なかなか大型な装置「イヤホンを絡ませるマシーン」の横で。

「イヤホンを絡ませるマシーン」が人気

「これは『イヤホンを絡ませるマシーン』です。有線イヤホンを中に入れてボタンを押すと回転して、イヤホンがぐちゃぐちゃになります」

自社のプロダクトについて淡々と説明するのは、株式会社無駄の藤原麻里菜さんだ。そのほかにも、服の裾が引っかかりやすいドアノブや洗っていると周囲に水をまき散らすスプーンなど、日常生活にまるで役に立たないものを発明する「無駄づくり」と称する活動をつづけて10年になる。

物心ついた頃から粘土やレゴ、お絵かき、物語を書くなど創作することが好きだったという。

「末っ子でものすごく甘やかされて育ち、何かするたびに父と母から『すごい、天才だ!』と絶賛されていました。夢がコロコロ変わる子供でしたが、親は『どうせ飽きるでしょ』といった態度を見せることもなく、私が『パソコンでデザインをしてみたい』と言えばお古のパソコンをくれたり、『アコーディオンが弾きたい』と言えば中古で探してくれたり。すごくお金をかけられていたわけじゃないのですが、毎度工夫して用意してくれて。やりたいなら、とりあえず一度やってみれば? というスタンスでしたね」

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