サラリーマンの収入は全然増えないのに、子育て、教育にかかるお金は増える一方。いったいどうしたらいいのか。「お金のプロ夫婦」であるファイナンシャルプランナーの寺澤真奈美さん、投資・ビジネス書作家の寺澤伸洋さんは「教育費は銀行預金や学資保険で貯めるもの、という常識を見直してみてほしい。すると、ある1つの方法が見えてくる」という──。(第1回/全2回)

※本稿は、寺澤真奈美、寺澤伸洋『NISA、保険、助成金もスッキリ分かる 子どもにかかるお金大全』(光文社)の一部を再編集したものです。

大学卒業まで「子ども一人にかかるお金は2000万円」

2023年6月、政府は「こども未来戦略方針」を閣議決定しました。岸田文雄首相は会見で、児童手当の所得制限撤廃、出産費用の保険適用など、子ども・子育て予算は国際的にもトップ水準になると強調しました。

とはいえ、「大学卒業までにかかるお金は子ども一人あたり2000万円」ともいわれる今、国のサポートだけで十分とはいえない現実は変わりません。

日本の「失われた30年」と呼ばれる1990年代から現在の間に、大学の授業料は国公私立ともに1.5~1.6倍に高騰しています。

その一方で、会社員の平均賃金は横ばいを続けています。収入は増えないのに、教育費がふくらんでいったため、「お金がないから子どもは持たない」という苦しい選択をする夫婦が増えているのです。

虫眼鏡で貯金箱を観察する少女
写真=iStock.com/kool99
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お金のプロは「銀行預金」「学資保険」を選ばない

何の戦略もないままでは、子どもにかかるお金を用意するのは難しいというのは動かしがたい事実です。しかし、その一方で、教育費を準備するための戦略をしっかり立て、各家庭でそれを実行していく自助努力をすれば、子育てに必要なお金に対する不安を払拭ふっしょくすることは可能です。

2023年のソニー生命の調査によると、教育資金の準備方法で最も多いのが「銀行預金」、ついで「学資保険」でした。

しかし、超低金利の銀行預金のメリットはほぼゼロ。今後インフレや円安が進むと、日本円の現金資産は実質的に目減りしていくことになります。また学資保険は、お金の専門家の多くが「デメリットのほうが大きい」と口を揃えます。

いったい、なぜなのでしょうか?