このままではロシア革命同様の事態に直面する
プーチン大統領の側近が、また一人いなくなった。ロシアの傭兵集団トップのエフゲニー・プリゴジン氏は武装蜂起し、モスクワの200キロ手前まで進んだものの、突如進軍を停止。わずか1日で幕引きとなった。
なぜ性急な行動をとったのか。そして、プーチン政権をどのように見ていたのか。本稿では欧米主要紙を基に、彼の意図を読み解きたい。
プリゴジン氏はこの数カ月、政権幹部を厳しく批判しており、プーチン氏に失脚の時機が近づいているとSNSで警告していた。特に海外メディアが注目したのが「第2のロシア革命」発言だった。プーチン氏への敬意は維持していると断りを入れながら、絶大な権力を誇ったロシア皇帝が民衆によって引きずり下ろされた歴史的革命になぞらえ、警告した。
ロシアのエリート層が戦争に本気で注力しない限り、第1次世界大戦をロシアが途中離脱する原因ともなったロシア革命同様の事態に直面する――。ロシアはウクライナの戦争に敗れるおそれさえあるとの見解を示していた。
数十万人が蜂起し、再び革命が起きる
武装蜂起の直前、欧米の主要メディアは、プリゴジン氏の「第2のロシア革命」発言に大きく反応した。
ワシントン・ポスト紙は、『プリゴジン氏、ウクライナ戦争は裏目に出たと発言 ロシア革命を警告』という見出しで、ロシア地域担当記者Mary Ilyushina氏の署名記事を配信した。
同紙によると、プリゴジン氏は「孤立した裕福なエリート層が、より直接的にロシア政府に関与しない限り、モスクワの残忍な戦争はロシアを1917年の革命と同様の混乱に陥らせる可能性がある」と警告。ウクライナの非武装化に失敗したプーチン氏の戦争は裏目に出ており、「ロシアを失う状況すらあり得る状況にある」と語った。