「高度に組織化され、よく訓練されており、彼らの情報は最高レベルである。私は今日のウクライナが、世界最強の軍隊の一つであると信じている」
「われわれはキーウに接近し、恐怖のあまり失禁して退却した。次に(南部の)ヘルソンに向かい、そしてまた漏らしながら逃げ出した。われわれにできることは何もないように思われる」

この戦争はこれからどうなるのだろうか。彼の発言を見ていくと、悲観的な未来を予想しているようだ。プリゴジン氏は、欧米のウクライナ戦争への関心と支援が低下し、中国がロシアとウクライナの交渉を仲介する楽観論を否定する。むしろ西側の支援は今後さらに増大し、ウクライナは複数の地点で反攻作戦を成功させると見る。

「彼らは2014年の(ロシアによるクリミア併合前の)国境線を復活させようとするだろう」
「(西側によるクリミア奪還は)簡単に起こりうる。いまいましいことにわれわれは、ロシア(の領土)を失うおそれのある状態にあり、それが最大の問題だ」

夜のモスクワ、聖バジル大聖堂と赤の広場
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国民を毎日2時間、タダ働きさせる案が浮上

ロシア国民の鬱憤うっぷんがいずれ革命につながるというシナリオは、現実的なのだろうか。英テレグラフ紙は、極めて妥当性のある推論だと捉えたようだ。

同紙はロシア国内の戦争推進派のあいだで、「この戦争でロシア軍は、腐敗したエリートたちに裏切られた」とのシナリオが形成されていると指摘する。侵攻以前からロシア軍上層部では腐敗が進み、軍の予算を常態的に横領してきた。ウクライナの戦地で戦車が燃料切れを起こしたり、数十年前の装備品や数年前の配給食が配られたりというお粗末な事態は、軍上層部の腐敗が招いた結果だという。

こうした事情を念頭にテレグラフは、仮にウクライナの今後の反攻作戦でロシアが壊滅的な打撃を受けた場合、「こうした(腐敗に裏切られたと感じている)人々が反政権の即席の同盟を結成する事態が、容易に想像される。それは、非常に強力なものとなろう」との指摘だ。

ロシア国民の不満はさらに高まることになりそうだ。

米インサイダーがイギリス国防省による情報として報じたところによると、ロシアのスポークスパーソンは市民に対し、戦時対応として1日2時間の追加労働を無償で求める考えを明らかにした。

ウクライナ戦争での資金を調達するため、ロシアの国営メディアや企業が旗振り役となり、終業後の無償の労働あるいは週6日勤務を求めていく計画があるという。

ロシアの実質的な国営メディアであるRT(ロシア・トゥデイ)のマルガリータ・シモニャン編集長はすでに、国民は通常業務のあと、毎日2時間を軍需工場で過ごすべきだとの私見を示している。