加藤敏雄
1947年、山口県周防大島町生まれ。立命館大学を卒業後、山口銀行に入行。新下関駅前支店長、若松支店長を経て、2002年に取締役本店営業部長に就任する。05年から常務取締役北九州本部長、09年に専務取締役北九州本部長を務め、その経験から新銀行設立の陣頭指揮を執る。11年10月、北九州銀行の誕生に伴い頭取に就任する。地方銀行の誕生は、27年ぶり。北九州市の花、ひまわりにちなみ、コーポレートカラーは黄色。地元プロサッカーチーム、ギラヴァンツ北九州のオフィシャルスポンサーでもある。
北九州市は人口100万都市ながら、地方銀行の本店がなかったんですね。そこで山口銀行の九州部門を分割して、昨年設立したのが北九州銀行です。
私自身は山口県の生まれですが、最初の配属は福岡支店。北九州市内の若松支店長もして、通算10年はこっちで生活しているんです。
北九州はいいところですよ。ひと言で言うなら「義理と人情」の土地柄。縁をとても大事にして、私のような他県の者でも溶け込むと温かい付き合いをしてくれる。
観光名所も多いですよ。門司港は昔の港町が復元され情緒がある。明治時代からのアジア貿易の拠点だけに、アインシュタインが泊まった三井倶楽部など往時を偲ばせる洋風の建物が残っているんです。
関門海峡も素晴らしい。下関へは人道といって歩いて渡れる海底トンネルがあるんです。その入り口近くには、松本清張の推理小説『時間の習俗』に出てくるワカメ刈りの神事で知られる和布刈(めかり)神社があって、境内に立つのが「枕潮閣」です。かれこれ15年ぐらいの付き合いになりますか。東京から大事なお客さんが見えたときに、よく案内させていただく。この店は海の上に立ってるんですよ。しかも、上には関門橋が通って迫力がある。夕日がまた、言葉にならないくらいきれいなんですよ。
料理はすべて海の幸です。関門海峡は“ふく”が有名ですが、メバル、アナゴ、カレイ、それに潮の流れが速いからタコも足が短くて筋肉が太い。関門ダコは立って歩くといってね。しかも、瀬戸内海の小魚も響灘の大きな魚も獲れますから。
鮨屋もネタが新鮮なのは当たり前。その中で小倉の「鮨 塚本」の握りはただ鮮度がいいだけじゃなくて、ひと工夫ある。酒を飲みながらつまむにはいいんですよ。
仕事の接待も多いので、酒はほぼ毎晩ですね。飲むのはもっぱら芋焼酎のお湯割り。これのいいのは、濃さを調整できるところなんですよ。日本酒はお湯で割れないからすぐに酔ってしまう。まぁ、加減できるといってもあまり薄くしすぎると、「なんやこれ、うもないな」ってことになりますけど(笑)。
毎日飲んで、夜にはご馳走を食べるでしょ。つい食べ過ぎてしまうんです。
だから、朝は取らず、昼もうどん1杯かおにぎり1個ぐらい。運動は月2回の水泳と、毎週のようにゴルフに行ってます。仕事絡みも多いけど、それでも青空のもとで体を動かす喜びはありますね。3年ぐらい前まではメタボの典型だったんですが、健康に気遣うようになったら4キロほどやせました。酒を飲まなきゃもっとすっきりするだろうけど、こればかりはやめられませんね(笑)。