東貴博

1969年、東京都生まれ。父はコメディアンの故・東八郎。88年、萩本欽一の欽塾へ弟子入り。94年、深沢邦之とお笑いコンビTake2を結成。テレビ、ラジオ、舞台、映画など多彩なフィールドで活躍している。昨年12月にタレントの安めぐみと結婚。著書『下町のプリンス 東MAXが教える 東京スカイツリー 下町完全ガイド』が発売中。6月より東京と仙台で、舞台「三宅裕司舞台復活記念!熱海五郎一座『落語日本花吹雪~出囃子は殺しのブルース~』」に出演。仙台:7月13日 エレクトロンホール宮城(GIP TEL.022-222-9999)。※東京公演は終了


 

食べ歩きは昔から好きですね。「一隆」との出合いはもう10年くらい前になるかな。僕の中では蟹の店。立派な毛蟹やタラバがドカンと出てくる。ものすごくおいしくて、しかも安い。一度、欽ちゃん(萩本欽一)たちをお連れしたんですが、そのときの蟹がタラバかと思ったくらい大きな毛蟹だった。みんなすごく喜んでくれて、僕もなんだか鼻が高くなりました。蟹や刺し身が食べたいときはもうここ以外ない! そんな店です。

6月から三宅裕司さん率いる熱海五郎一座の舞台「落語日本花吹雪~出囃子は殺しのブルース~」が始まるので、先輩方も一度「一隆」にお連れしたいですね。今年は三宅さんが座長ですが、毎年、伊東四朗さんか三宅さんが座長で芝居をやっているんです。自分の中では1年のメーンイベントと思っているほど一座に呼ばれるのが楽しみ。渡辺正行さんやラサール石井さんをはじめ、出演者はみんな仲がいい。本番に入ると、誰もが「今日は誰と飲みに行くか」って考えてるんじゃないかな。僕は一座の中では一番後輩なので、みんなに甘えられるし、金もかからないから、なお楽しい(笑)。

僕は時間があればいつまでも飲んでます。しかも何でも飲む。地方ロケへ行けば、その土地のおいしいものは必ず食べに行きます。今、毎週土曜は名古屋で仕事があるので、金曜から名古屋入りして食べ歩いてます。名古屋はビストロ文化がすごく発達していて、フレンチやイタリアンの店がとても多い。新幹線の中では雑誌を読んだりネット検索したりしてずっと情報収集しています。おいしいものには貪欲なんです。

おいしい食事って気持ちが贅沢になるじゃないですか。僕は所持金が500円なら、300円でご飯を食べて200円をバス代にするより、500円の食事をして歩いて帰りたい。そのほうが気持ちいい。何を食べてもお腹はいっぱいになりますが、おいしいものを食べるのと適当に食べるのでは、何より贅沢さが違いますから。

そういう贅沢さを求めるようになったのは、一人暮らしが長かったせいもあると思います。ただ、結婚してもロケやテレビの収録で、奥さんと家でご飯を食べられるのは週に一度あるかないかですね。

彼女の手料理で好きなものは、そうめん! いつもそればかり頼むから、彼女は「またそうめん!?」って腕がふるえず残念そうだけど。でも、そうめん! 外ではビストロだなんだと行くので、家では納豆と味噌汁、みたいな家庭料理が食べたいんですよ。ただ言っておくと、彼女のそうめんのつゆはただのつゆじゃない。たとえば、豚とナスを炒めたのとネギやショウガがいっぱい入ってる。これがうまいんだなぁ~。

※すべて雑誌掲載当時