落語家 六代目 三遊亭円楽

1950年、東京・両国生まれ。青山学院大学法学部卒。在学中に五代目・三遊亭円楽の目に留まり、三遊亭楽太郎として前座デビュー。27歳でTV「笑点」の大喜利メンバーに抜擢される。79年、放送演芸大賞最優秀ホープ賞を受賞。81年、真打昇進。2007年からは福岡市で「博多・天神落語まつり」のプロデュースを手がける。10年3月に六代目・三遊亭円楽を襲名。


 

小さい頃から銀座に来るのが大好きでした。小学校に上がってからは、実家近くの浅草から地下鉄で日本橋へ出て、銀座を歩き、月島から都電に乗って帰るというのが休日の散歩ルートになりました。デパートにもよく子供たちだけで行きました。いまでも銀座一筋です。夕方、地方から新幹線で帰ってきたりすると、家へ帰る前に必ず銀座へ立ち寄ります。

東京にはいろんな繁華街がありますが、銀座だけは別格です。なんといっても、よそには「ないもの」があるのが銀座です。このディスカウントの世の中でも、銀座には「正札つき」の商売が残っています。品質にふさわしい値段をとるのはあたりまえ。そのかわり、どの店も心得たサービスをしてくれます。いつかは自分のお金で銀座で食べて、飲んで、買い物できるようになりたい、というのが若い頃からのあこがれでした。

僕はおごられるのが嫌いです。銀座ではめったにありませんが、芸人を見ると自分の席に呼びつけて「何かやれ」というお客がいるんです。払いは持ってやるということですが、それが僕には我慢できない。おごられるくらいなら、おごったほうがいいですよ。金だって借りるよりは貸すほうがいい。だから僕、貸し倒れがいっぱいありますよ(笑)。

「PENTHOUSE G」に初めて来たのは襲名披露(2010年3月)の頃だから、2年とちょっとの付き合いです。昔はプロレスラーの友だちと飲み比べをしていたくらいだから、酒はかなり強いほうだと思います。でも、最近は飲み方のパターンが変わりました。あんまり深酒はせず、たとえば地方へ行っても、ホテルのバーで品よく1~2杯飲むくらいでおしまいにします。

東京にいるときも、食事をして飲み足りないようなときはこの店に立ち寄って1杯やることにしています。どこかへ繰り出す前の下地づくりに、30分ほど寄ることもありますね。平均すると月に1回くらい。でも「〆の店」とか中継点として、僕には大切な存在です。

ここの店長、落語が好きなんですよ。でも最初はそんなそぶりは見せなくて、3~4回通ってから「実は師匠のCDを持っています」というんですから(笑)。この人、お酒に関しては本当のプロです。頼めば何でも出してくれます。たとえば僕はウイスキーが好きで、主張の強いシングルモルトをひいきにしていました。でも、店長に勧められてブレンデッドのうまさにも改めて目覚めましたね。

食事もうまそうでしょう。ふだんは僕、あんまり食べないんです。フォークや箸を使うのが面倒だから(笑)。それでサンドイッチを出してもらうんですけど、この味、本当に絶品です。お一つどうですか?