認知症は加齢や病気によって脳の働きが低下し、記憶力や判断力など認知機能が徐々に落ちて日常生活に支障をきたした状態。認知症の大半を占めるアルツハイマー病や、抗加齢・長寿研究の第一人者である医師の白澤卓二さんは「世界中の膨大な研究論文を読むとアルツハイマー病予防、脳の老化予防のカギになるのは食事だと確信した。その結果、毎日食べるといい食材がわかった」という――。(後編/全3回)

※本稿は、白澤卓二『Dr.白澤の実践メソッド 100寿をめざす認知症最新戦略』(主婦の友社)の一部を再編集したものです。

※アルツハイマー病専門医の第一人者が毎日食べたい必須の食材1~3(前編)、4~6(中編)はこちら

7 毎日食べたい必須の食材「ボーンブロス」

タンパク質が豊富で消化・吸収しやすい
●鶏、牛、豚などの骨と香味野菜を煮込んだスープ
●長時間煮込むので骨から栄養が溶け出す
●消化・吸収する力が落ちている人におすすめ
●腸の粘膜の修復に役立つ
旨みと栄養が溶け出たスープ

ボーンブロスは骨からとるだしです。牛や豚、鶏などの骨と香味野菜を、鍋でコトコトと煮込んでできるスープのことです。

ブイヨンとソースパン
写真=iStock.com/Qwart
※写真はイメージです

長時間かけて煮込むので、骨から栄養が溶け出し、カルシウム、リン、マグネシウム、コラーゲン、アミノ酸(タンパク質が分解されたもの)が豊富に含まれています。

ボーンブロスのいいところは、消化・吸収されやすい点です。加齢とともに、腸で栄養を吸収する力は落ちるので、高齢者はしっかり食事をしているつもりでも、低栄養に陥っているケースがよくあります。ボーンブロスは消化機能が落ちた高齢者にぴったりです。

また、タンパク質やビタミン、ミネラルが豊富なボーンブロスは腸粘膜の修復を促します。腸の粘膜がダメージを受けて、バリア機能が低下している人にもおすすめです。

腸のバリア機能が低下すると、疲労感、下痢や便秘、じんましん、アトピー性皮膚炎、リーキーガット症候群など、さまざまな不調が起こります。ボーンブロスはこうした不調の改善にも役立ちます。

ボーンブロスは手作りできる

牛テール、スペアリブ、手羽先、手羽元など骨のついた肉と、ねぎ、しょうが、にんにく、セロリなどの香味野菜を鍋に入れて、アクを取り除きながら数時間煮込みます。粗熱が取れたらザルなどでこし、できたスープがボーンブロスです。

旨みが濃いので、塩などで味つけしてそのまま飲んでもいいですし、具材を加えてスープにしたり、カレーやシチューなどの煮込み料理に活用したりするのもおすすめです。

ボーンブロスのレシピはインターネットで紹介されていますし、レシピ本などもあるので、ぜひ手作りしてみてください。