スティーブン・リチャーズ・コヴィー
Stephen Richards Covey
世界38カ国に拠点を持つフランクリン・コヴィー・グループの創設者。『7つの習慣 成功には原則があった』は世界で2000万部以上を記録。25年間にわたりリーダーシップの原則とマネジメント・スキルについて、ビジネス、政府、教育の現場を通して指導。近著『第3の案』がベストセラーに。
http://www.franklincovey.co.jp/books/


 

Q 職場がギスギスしています。部門内でも部門間でも、自分の売り上げや権限を守るのに必死で、つまらない喧嘩ばかり。どうすれば組織をいい方向に持っていけるのでしょうか。(自動車メーカー/45歳/男)

A 君は「シナジスト」になる覚悟はあるか

あなたはとても賢明な人です。リーダーとしての第一の条件である、組織をいい方向に向かわせたいという強い気持ちを持っており、組織内の争いに巻き込まれることなく、冷静に判断できる知性も併せ持っているからです。さらに、あなたは「シナジスト」になる素養を持っている人です。シナジストとは、二者が対立する中、お互いの意見を尊重し、双方を満足させることができる創造的な「第3の案」を生み出すことのできる人のことです。

組織同士、あるいは組織内においても、通常の争いには間違いなく2つの対立項があります。つまり争いとは「私の案」対「あなたの案」、「誰かの案」対「誰かの案」となります。そしてどちらかが勝つか負けるまで続くことになります。時には、どちらも負けることもあります。

争いのための無駄なエネルギー

「第3の案を創造する」とは、「どちらかが勝つ」ではなく、「どちらも勝つ」という考え方に基づいた行動です。「第3の案」を生み出す思考プロセスを使えば、争いや対立そのものを避けることができます。「私の案」対「あなたの案」ではなく、お互いが満足する「案」をともに探す協力のアプローチだからです。

「第3の案を創造する」ことを常に意識することができれば、あなたは今後、争いのために無駄なエネルギーを使うことはなくなり、よりエキサイティングで画期的なアイデアに向けてエネルギーを注ぐことになるでしょう。

「第3の案を創造する」アプローチは、誰かが異を唱えたときから始まります。通常の場合はまず反論することから始まります。しかし、あなたは「第3の案を創造する」プロセスを持つ「シナジスト」です。