相手の意見の本質を知る

あなたはあなたに異を唱える人と向き合い、「あなたは私とは違う意見を持っています。だからこそ私はあなたの意見により耳を傾けなければなりません」と本気で相手に伝えてください。あなたの心の中にあるのは、相手を素直に受け止めようとする姿勢だけです。そして、あなたが本当にこれを実践し相手の意見を真摯に受け止めようと努力すれば、その時点から争いはなくなり、相手の意見の本質を聞き分けることができるようになるでしょう。

そのとき、相手がかつての対立者だろうが、利害関係のある他部門の人であろうが、あなたが今まで気づかなかった何かを教えてくれるでしょう。あるいは、少なくとも相手の気持ちや対立していた本来の理由を理解することができるようになるでしょう。

「第3の案を創造する」プロセスを持つ「シナジスト」はそこでこう聞きます。「あなたは今まで私たちが考えもしなかったような案を探し出すことに異論はありますか?」と。もし、相手が同意してくれるならば、二人で一緒により上の領域を目指して解決策に向かってください。ここで争いはありえません、あるのは相互理解と創造性だけです。

次の事例は、報酬に対する不満があるビジネス・パーソンが上司に交渉にいくという典型的な対立事項を、見事な「第3の案」創造プロセスを使ってより大きな成果へと結びつけた上司のストーリーです。

あるとき、一人の若い男性が転職してまだ日が浅いころ、現状の仕事に対する報酬が低すぎることに不満を抱いていました。はじめのころは少ない給料で我慢していたのですが、数カ月後、医療費がかさみ、家計が火の車であることがわかり、自分の仕事に対して給料が少なすぎると思いました。