沖縄の山深くに世界注目のツリーハウスホテル誕生
「この感動はサグラダ・ファミリア以来だ」「たいへんな感銘」「映画のような光景」「(大自然の中で滞在すると)素晴らしい孤独を見つけることができる」……。
那覇空港から車で2時間ほど。沖縄本島の北東部にある“やんばるの森”。ここに今、世界が注目する建築物がある。「建築主」は菊川曉さん(57)。といっても建築家ではない。東京都渋谷区に本社のある「ガーラ」の創業者でCEOだ。慶應義塾大学経済学部を卒業して広告代理店に5年勤務した後、1993年にベンチャー企業として同社を設立し、成長させた。現在は、メタバースやブロックチェーンなどWeb3.0を中心とするビジネスを展開している。
菊川さんが沖縄の手つかずの森の中に約8年の歳月をかけて作り上げた建築物とは、超本格的な“ツリーハウス”だ。これが国内外から称賛されている。
冒頭で紹介したのは、『ヴォーグ』『ナショナルジオグラフィック』といった海外メディアの菊川さんの“作品”に対する評価である。『フォーブス』は「ひとりの起業家の情熱的なプログラム」とその制作にかける熱量の高さや姿勢にスポットライトを当てた。
現在、3つの形の違うツリーハウスと地上の宿泊コテージ、そしてオープンテラスのレストランもあり、最大6人まで宿泊できる。2021年8月のオープン以来、多くの国内外の旅行者がやってくる。
2023年2月半ばには、国土交通省の和田浩一観光庁長官も「海事・観光立国フォーラム in 沖縄2023」で現地を訪れた際、菊川さんのツリーハウスも視察にやってきた。国のお墨付きももらい、その認知度は確実に高まっている。
基本的に1年のほとんどを、このやんばるの森で過ごすという菊川さんはこう熱く語る。
「私は、日本初の森を活用したツリーハウスリゾートを全国展開したいと考えています。森を守ることを絶対ルールとしながら、人々が宿泊でき、ダイナミックな自然体験もできるリゾート施設を完成させ、その森を運営して儲かる仕組みもつくりたい。ゆくゆくは、このビジネスモデルを東南アジアなど世界へ輸出したいと思っています」
「自分の信条は、『この世に生まれた以上、世界一ではなく、世界初を目指す』ということ。そうしないと自分の生まれた意味がないと思っています。今、この夢を実現するために全力で走っています」
スケールの大きいビジョンだが、なぜ、建築のド素人がこんな壮大なプロジェクトを実現できたのか。