部下と5年間浮気していたアラフォー管理職の夫。いったん不倫相手にそでにされたが、再びよりを戻した。とっくの昔に愛想を尽かしていた妻は、3人の子供を連れて家を出、段取り通り、弁護士を立てて正式に離婚。不倫相手から200万円の慰謝料を得、元夫にも3人の子供の養育費を請求。元夫が妻の「言い値」を承諾した理由とは――。
困難な関係を表す背中合わせの2人
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【前編あらすじ】山陰地方在住の辻川結衣さん(仮名・40代)は、大学4年の頃、出会い系サイトで知り合った1歳年上の男性と結婚。夫は明るく社交的な性格で、誰もがよく知る重工業系メーカー勤務。多忙な生活を送っていた。2人の子供に恵まれ、幸せに暮らしていた辻川さんだったが、3人めの子供となる長女を妊娠した頃から、夫に違和感を覚え始める。辻川さん37歳、夫38歳、長男10歳、次男6歳、長女4歳になっていたある日、辻川さんは夫の不倫動画を発見。辻川さんが問い詰めるも、夫は1回きりだと言い張る。2人は話し合い、夫婦関係を再構築することにしたが……。なぜタブーは生じたのか。タブーのはびこる「家庭」という密室から、どのようにして抜け出すことができたのだろうか(本稿までの詳しい経緯を前編で読む)。

手のひら返し

2019年9月、子供たちの夏休みが終わった頃、山陰地方在住の辻川結衣さん(仮名・40代)は転機を迎える。

職場の部下と不倫していたことが発覚した辻川さんの夫だが、5年にも及ぶその関係が、ついに終焉を迎えたのだ。どうやら夫の「妻とは離婚する」という口約束が果たされないことにしびれを切らした相手の女性は、別に彼氏を作ったらしい。

夫は、手のひらを返したように、辻川さんに擦り寄り、優しくなる。辻川さんは、どんどん気持ちが冷めていくのを感じた。

「不倫が露呈しても、不倫女に裏切られても、夫は常に相手の女性をかばいました。そんな夫を私は許すことができず、家にいる間は夫を責めて責めて追い詰めて、『もう許してくれ!』と泣いて謝ってきても、心の中で『世界で一番愛してるのは不倫女なんでしょう!』『だから私とはいまだにセックスレスなんだ!』と悪態をつき、とにかく夫にぎゃふんと言わせたい気持ちと、私の元に戻ってきてほしい気持ちが交錯していました」

たまらず夫は、「もういい加減にしてくれ!」「もう疲れた。バカみたいだ!」と叫んだが、そう叫びたいのは辻川さんのほうだった。なぜなら夫が不倫相手に未練があり、今もたびたびLINEを送っていることを知っていたからだ。そんな夫と一緒に暮らしている自分自身にも、「バカみたい」と嫌気がさしていた。