新卒入社した会社で最低3年間は働き続けないと、転職に苦労するという意見がある。本当なのか。ノンフィクション作家の吉川ばんびさんは「必ずしもそうとは限らない。私は新卒で入ったブラック企業を約半年で辞めたが、そこより待遇も収入も良い会社に簡単に転職できた」という――。
頭を抱えるビジネスウーマン
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「辞めない」ことのデメリットのほうが大きかった

新年度が始まると毎年、もう社会に出て何年もたつ大人たちが「3年神話」は正しいのか正しくないのかをひたすらに議論し、それぞれの持論を展開して新入社員にエールを送る様子が散見される。

社会人9年目を迎えた私も例に漏れず、こうやって社会人に向けてのメッセージを書いているわけだが、結論を言うと「会社を辞めない理由が“3年神話”しかないなら無理せず辞めてもいいんじゃないの」というところで、継続は力になることももちろんあるけれど、場合によっては毒にもなるからね、と考えている派の人間である。

かく言う私も新入社員の頃、約半年で会社を退職した身であり、先輩や上司からの度重なる「3年は辞めるな」ハラスメントをド無視して、独断で退職届を提出した。

「新卒カードを捨てるなんてもったいない」「転職すれば今より待遇は悪くなるし、収入も低くなる」と散々脅されたが、控えめに言って「残業代も付かないブラック企業ですでに低賃金長時間労働を強いられているのに何を言っているんだ目を覚ませ」としか思えず、足早に会社を立ち去ることにしたのだ。

私の場合は、特別その職種にこだわっていたわけではないこと、これ以上その会社で学ぶことはないと判断したこと、セクシャルハラスメントとパワーハラスメントがひどい体質の企業であったことなどが、早くに退職を決断した要因であったように思う。

例えば専門的な技術を何年もかけて習得する必要がある職種であればもう少し踏ん張ろうと思ったかもしれないが、とにかく私には、その会社に長くいるメリットよりも、劣悪な環境に長く身を置くことで被るデメリットの方がはるかに大きかった。