離婚準備

不倫が発覚した後から、辻川さんは不眠に悩み、心療内科に通院。うつ病と診断され、抗うつ薬を処方された。

相談した既婚の友人たちからは、「子供たちのためにも、離婚は踏みとどまったほうがいい」と言われ、辻川さんは、「離婚をするとしても、一番下の子(当時4歳)が小学校に入学したら」と考えていた。

だが、離婚について調べるうち、不倫相手への慰謝料の請求に3年の有効期限があるということを知ると、「3年の間にしっかりと経済的に自立をし、自分の気持にもケリをつけよう」と決断。収入を増やすために転職活動や、子供を連れて家を出るための引っ越し先探しを始めた。

疲れ切った夫婦関係
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不倫発覚から2年が経とうとしていた2021年4月のある夜、夫からLINEが届く。

「離婚してほしい」

夫からのLINEは翌朝には取り消されていたが、辻川さんはこれで心を決めた。

7月になると辻川さんは、夫のいない平日の昼間に、子供たちを連れて家を出た。辻川さんは、約半年の間に、新しい仕事を決め、引っ越し先を探し、弁護士に依頼。離婚に向けて着々と準備をしてきたのだ。

夫にかわいがってもらった記憶が濃く残る12歳の長男は、少し寂しそうな様子だったが、おおむね子供たちは引っ越しに賛成。ここ数年、DVをする父親のせいで母親がおびえたり、イライラしたりすることが多くなっていたことはわかっていたため、父親と離れられることをとても喜んだ。

家を出た日の夜、夫からは電話もLINEもなかった。