「リモートでのメンバーマネジメントが上手くいかない」と悩むマネジャーは少なくない。そんなマネジャーが持つと良い“部下への3つの視点”とは――。

※本稿は、武藤久美子『リモートマネジメントの教科書』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

頭痛を持っているビジネスマン
写真=iStock.com/VioletaStoimenova
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リモートマネジメントは何故必要か

新型コロナウイルス発生直後、「リモートマネジメントは必要ですか」と尋ねられることがしばしばありました。

マネジャーが従来のマネジメントを継続することに難しさを感じているという面はもちろんあります(ちなみに、できるマネジャーが従来行っていたマネジメントは「偶然やついでの機会を使ったマネジメント」です)。しかしそれ以上に、好むと好まざるとに関わらず、リモートワークによってメンバーに訪れた変化に対応するために必要なのではないかと考えます。

とはいえ、すべてのメンバーが責任を果たしながら自由を享受できるわけではありません。たとえば、仕事の基礎や人間関係ができていない新入社員は、すぐには自律的に働き、責任を果たせる状況にはならないでしょう。

また、リモートワークでは、業務上直接関係のある人とのやりとりに“閉じる”ことが増えます。マネジャーからみると、もっと新しい活動をして欲しいでしょうし、メンバーもこうした状況が続くと成長の鈍化を感じるかもしれません。

加えて、責任を果たし、自由を享受できているメンバーについては、リモートワーク下では「今活躍できているのは自分(だけ)の力だ」と思うかもしれません。

リモートマネジメントとは、メンバーが、個として立ち、物理的距離が離れていても心理的なつながりを感じながら働き、社外からも求められる人材が積極的に「ここがいい」と自社・自組織を選ぶ状態になることを助けることが求められます。

リモートマネジメントに必要な3つの視点

改めて、リモートマネジメントとは何かを表すと

●リモートワークは、メンバーに「自由と責任」をもたらし、マネジャーの「偶然やついでの機会を使ったマネジメント」を困難にする。
●リモートマネジメントとは、メンバーの3つの「こ」、①個として立つ、②心の距離が近い、③ここがいい、をつくる意図的な支援である。

たったこれだけです。3つの『こ』、それぞれについて解説します。