メールの書き出しには、どんな言葉を選べばいいのか。スピーチライターのひきたよしあきさんは「『お疲れさまです』と書き出す人が多いが、『疲れてないよ!』と反発されるかもしれない。同じ言葉を機械的に使うのではなく、いろいろなフレーズを使い分けたほうがいい」という――。

※本稿は、ひきたよしあき『人を追いつめる話し方 心をラクにする話し方』(日経BP)の一部を再編集したものです。

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写真=iStock.com/BrianAJackson
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「疲れているって決めつけられるのは嫌」

「会社に入って、メールの頭に『お疲れさまです』と書いてくる人が多いのにびっくりしました。『疲』って字を見ると、逆に疲れが出ちゃうんですよねえ。こういうの、私だけですかね」

昨年就職した教え子に久しぶりに会ったときに、こんなことを言われました。慢性的に疲れている私には、全くこういう感覚がありませんでした。気になったのでいろいろな人に聞いてみると、「ただの挨拶。気にもしなかった」「実際疲れているから、いたわってくれているように感じた。不快じゃない」「なんで私が『疲れている』って分かるの? 決めつけられているようで嫌」と、世代や職歴によってかなりの差があることが分かりました。

リモートワークが増え、モニターに向かう時間が長くなった。そのなかで、「お疲れさま」をいたわりの言葉と取るか、疲労を倍増させる言葉と取るかは、人によって感じ方が違うようです。気を付けたほうがいい言葉のひとつですね。

上から目線の「ご苦労さま」の代わりに勢力を拡大

「お疲れさま」がよく使われるようになったのは、目上の人が目下の人に使う「大名言葉」の筆頭に、「ご苦労さま」が挙げられるようになってから。上司や得意先に対して、「ご苦労さまです」を使うな! と言われている人も多いでしょう。

その代わりに、使ってよいとされるのが「お疲れさま」。ここには相手へのねぎらいの思いが込められている。上から目線にもならない。この考え方が広まって、「『お疲れさま』なら失礼にならない」と思う人が増えたのかもしれません。

私も親しい仕事仲間とのLINEやメールのやり取りの際、「お疲れさまです」と書いていることが多かった。学生たちには、「疲れてないよ!」「なんで決めつけるんだよ!」と思われていたのかもしれません。