お笑い芸人の今田耕司さんは、『M-1グランプリ』『オールスター感謝祭』『バチェラー・ジャパン』など人気番組の司会者も務めています。なぜ各局は今田さんをMCとして起用するのか。フリーアナウンサーの古舘伊知郎さんがその理由を解説する――。

※本稿は、古舘伊知郎『MC論 昭和レジェンドから令和新世代まで「仕切り屋」の本懐』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。

恋愛バラエティー番組「バチェラー・ジャパン」シーズン2発表会が2018年5月23日、東京都内で行われた。(左から)藤森慎吾さん、今田耕司さん、指原莉乃さん、CM出演のゆりやんレトリィバァさんが登壇し番組をPRした。
写真=時事通信フォト
恋愛バラエティー番組「バチェラー・ジャパン」シーズン2発表会が2018年5月23日、東京都内で行われた。(左から)藤森慎吾さん、今田耕司さん、指原莉乃さん、CM出演のゆりやんレトリィバァさんが登壇し番組をPRした。

司会者なのに「もわ~ん」とはじめてくれる

『M-1グランプリ』で司会している時の今田耕司君は、上戸彩さんが進行するから、司会に徹しています。

古舘伊知郎『MC論 昭和レジェンドから令和新世代まで「仕切り屋」の本懐』(ワニブックス)
古舘伊知郎『MC論 昭和レジェンドから令和新世代まで「仕切り屋」の本懐』(ワニブックス)

あの番組って、審査員がいっぱいいるし、今田君がわざと司会然としてタキシードを着ているのも含め、レトロ感がありますよね。

審査員を上手にいじりながら、絶妙な仕切りをしています。

今田君がMCの『ファミリーヒストリー』にゲストで出たことがあるんですが、その時も、やっぱり今田君は上手いと感じました。

昔の大橋巨泉さんのように真ん中にどんと座って、「古舘さんのルーツを今日は探らせてもらいますよ」というような、司会者然とした司会の弁は今田君には一切ありません。

なんというか、もわ~んとはじめてくれるんです。

「親族に誰かそういう人いました?」

普通、番組の収録は「10秒前、9、8、7……3、2、はい、キュー」とカウントダウンとともに緊張感が高まりゆく中ではじまるので、それが司会者にも伝播して、

「こんばんは、今夜もはじまりました、○○です」

とちょっとかしこまった感じではじまりがちです。

でも、『ファミリーヒストリー』という番組は己のルーツと出会い向き合う番組だから、テキパキはじめられるより、もわ〜んと穏やかに、さかのぼっていくような感じだと、ゲストとしてはやりやすいんですよ。