ざわついたまま黙らせる『オールスター感謝祭』の仕切り

『オールスター感謝祭』の司会は、普通の番組よりはるかに大人数のゲストが出ているのを束ねなければなりません。今田君は、100人以上いても、誰かに振って上手く回収できる。先ほどの「引き取り」が上手いからまとめられるんです。

そしてもう一つ、「私は何百人を束ねている司会の演技をしています」っていうのが上手い。だって今は、昔のように司会者1人が責任を取るわけではなく、責任分散の時代です。何百人を束ねても、司会者だけに責任がのしかかるわけではありません。

昔の司会者だったら、場内がざわついたら、「ちょっと静まってください。まったく統制が取れていません。大変なことになりますから。いいですか。このあと相撲大会が待っているんですから、ちょっと静まって。いいですね。ダメと言ったらダメです。はい、黙った。はい、じゃあここからいきますよ」

こんな感じでまさにあからさまに統制して束ねようとしますが、今田君はそんなことはやりません。

「ちょっと黙っていただけると有り難いんです。皆さんだって責任ありますよ? ね?」って、笑いながら言って、ざわざわしながらも黙らせるのが上手いんです。

「司会を演じている私を見て」というお芝居をやるから、みんながそれを見て笑う。劇中劇で笑わせることで統制を取り、最後は黙らせてしまう。

結果的に統制が取れてくる心地よさ

『M-1グランプリ』もそうです。あれも、「司会を演じている私」がいる。審査員が、

「今田ええなあ、本当に。キレイなお嬢さん隣にいて」

って言う。普通だったら、

「関係ない話じゃないですか。じゃあ次のコンビいきますよ」みたいに切り替える。でも今田君は、

「いや、確かに改めて見ると、たいしたもんですわ。本当ドレスがお似合いで。私もそれに合わせてタキシード着てきて大変です。これあつらえてんですよ。私、それなりに体鍛えてますから」
「もうええわ」

自分から統制を取ろうとはしません。「ちょっとそこ、好きにもめといてくれますか」ぐらいのこと、平気で言いますからね。

でも結果的に統制が取れてくる。そこが心地よいんです。