10兆円以上の個人資産をもつ伝説の投資家ウォーレン・バフェットは、グーグル、アマゾン、フェイスブックなどのIT企業を原則として投資対象としていない。だが、アマゾン創業者のジェフ・ベゾスについては「アメリカ最高のCEO」と褒めちぎっている。バフェットはベゾスのどこを評価しているのか――。
※本稿は、桑原晃弥『ウォーレン・バフェットの「仕事と人生を豊かにする8つの哲学」 資産10兆円の投資家は世界をどう見ているのか』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
アップルやマイクロソフトは買っているが……
バフェットはマイクロソフトの創業者ビル・ゲイツとは長年の友人であり、自身が経営するバークシャー・ハサウェイはアップルの株を大量に保有するなど、巨大IT企業と無縁ではありません。その一方で、グーグル(親会社はアルファベット)やアマゾン、フェイスブック、テスラモーターズなどには特段の関心を示していません。
バフェットにとってiPhoneやMacなどを販売するアップルは「メーカー」であり、その圧倒的なブランド力も含めて長期間にわたって保有したい企業であるのに対し、グーグルやアマゾンなどはやはり「能力の輪の外」(『ウォーレン・バフェットの「仕事と人生を豊かにする8つの哲学」 資産10兆円の投資家は世界をどう見ているのか』中の「哲学3」参照。自身が真に理解できる範囲、すなわち投資可能な範囲を超えているという意味)にいる企業なのでしょう。
今後はグーグルがiPhoneに対抗する高額のスマートフォン(ハイエンドモデルのPixel 6とPixel 6 Pro)を発売したり、アマゾンが小型の百貨店を出店したりといった、バフェットの理解が及ぶ戦略もとるだけに、将来的にはどうなるかはわかりませんが、少なくとも今の段階では、バフェットの「能力の輪の中」に入ることはなさそうです。
こう書くとアップルを除くGAFAとバフェットは縁がないかのように誤解する人もいますが、GAFAの創業者たちにバフェットが与えた影響はとても大きなものがあります。