資産構成をよりグローバルにする一環か
翌2021年2月、バフェットはバークシャー・ハサウェイ恒例の「株主への手紙」を公開しましたが、それによると同社の上場株の保有額上位15銘柄には、日本企業として初めて伊藤忠商事が入ることになりました。保有額は23億ドルで、保有比率は約5%でしたが、バフェットは同社に関しては約5億ドルの含み益があると明かしています。
バフェットはアメリカの経済が弱体化すると見ているわけではありません。しかし、上位15銘柄には他にも中国の電気自動車メーカーのBYDが入るなど、それまでのアメリカ株偏重から少しずつ脱しつつあるようにも思えます。日本の五大商社への投資も、割安株だったことに加え、資産構成のバランスを変えていく一環とも考えられます。
震災後の福島を訪問した際、バフェットは被災地の人々を励まし、地元メディアの要請に応えて、「頑張っぺ、福島」(『日経ESG』)と日本語でも応援したといわれていますが、主要先進国中、日本だけ経済の回復が遅れるなか、バフェットが日本株に投資しているという事実は励みであり、「日本もまだまだ捨てたものじゃない」と思わせてくれる、そんな存在がバフェットなのです。