「ウォーレン・バフェットは言っています」

グーグルは2004年に株式を公開していますが、そのやり方はウォール街の常識に反するものばかりでした。創業以来、「常識を疑う」ことでグーグルを成長させてきたラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンらしいやり方でしたが、2人は自分たちの経営のやり方を正当化するためにバフェットの言葉を引用しています。

桑原晃弥『ウォーレン・バフェットの「仕事と人生を豊かにする8つの哲学」 資産10兆円の投資家は世界をどう見ているのか』(KADOKAWA)
桑原晃弥『ウォーレン・バフェットの「仕事と人生を豊かにする8つの哲学」 資産10兆円の投資家は世界をどう見ているのか』(KADOKAWA)

2004年4月、証券取引委員会に新規公開株式を申請した際に開示したグーグルの財務状況や業務の詳細と一緒に、2人は自分たちの経営姿勢を示す手紙を添付、その中でこう書いています。

「経営チームがさまざまな短期的な目的に気を散らすのは、ダイエット中の人が三十分ごとに体重計に乗るのと同じくらい的外れなことです。ウォーレン・バフェットは言っています、四半期や一年の業績を『わたしたちが平らにすることはない』。決算の数字が本社に届くときにでこぼこしているのなら、あなたに届くときもそれはでこぼこしているのです」(『Google誕生 ガレージで生まれたサーチ・モンスター』デビッド・ヴァイス、マーク・マルシード著、田村理香訳、イースト・プレス)

それはグーグルの創業者2人の「長期的に最善であると思えることなら何でもする」という意思表示であり、バフェットが長く関わってきた『ワシントン・ポスト』同様に、付与される議決権が異なる2種類の株(A株とB株)を発行することにより、創業者である自分たちの経営権を確固たるものにして、グーグルの経営をウォール街の好きにはさせないという決意表明でもありました。それを正当化するためにバフェットの力を借りたのです。