アメリカ同時多発テロ以降に生まれた世代が成人に
世界を震撼させ、全てを変えてしまったといっても過言ではない9.11同時多発テロから11日で20年を迎えた。アメリカではざっくり10年で1世代が交替するといわれるが、これで2世代分の時がたったことになる。
しかし、これほどの大きな節目でありながら、エピセンター(震源地)であるニューヨークでは毎年恒例の追悼式以外は大きな式典はない。9.11は風化してしまったのだろうか。
この20年の間に、アメリカでは9.11を体験していない世代が生まれ育っている。しかも体験していないだけでなく、9.11について満足に教えられていない子供も少なくない。アフガニスタンを取り巻く問題が再燃する中、これでは歴史の過ちを再び繰り返してしまうのではないかという懸念も生まれている。
アメリカの9.11に関する教育の実情はどうなっているのか、それがこれからの世界の動向にどう影響するのか。まずはアメリカZ世代の若者たちの話を紹介したい。
「9.11ってなに?」しっかり教わったのは10人中2人
9.11から20年を前に、テレビでは多くの特集やドキュメンタリー番組が放送されている。その中のひとつに、年配の男性がある若者から「9.11ってなに?」と聞かれたというエピソードがあった。
20年で世代が二回りした結果がこれである。
9.11以降の最初の世代はミレニアル世代と呼ばれる20代後半~30代で、ミレニアム(2000年代)に入って成人した世代を指し、時には9.11世代とも呼ばれる。テロをある程度記憶しているミレニアル世代に対し、問題はその後のZ世代だ。今の10代~20代前半の若者たちである。
筆者が主宰する「ニューヨークフューチャーラボ」のメンバーも含め、Z世代の若者たちに話を聞いた。その限りではあるが10人の中で、しっかりと9.11を教わったというのはわずか2人だった。
戦後初めてアメリカ本土が攻撃され、3000人近くが犠牲となり、その後のアフガニスタン侵攻、イラク戦争、さらにイスラム国などによる多くのテロとも切っても切れない関係にある9.11同時多発テロが、なぜこれほどアメリカで教えられないのだろうか。
まず、Z世代の若者たちにこれまでどんなふうに9.11を教わってきたのかを聞いてみた。