8月16日、中国政府はアフガニスタンを制圧したタリバンに対して「友好的で協力的な関係を引き続き発展させていく用意がある」と表明した。ジャーナリストの高口康太さんは「中国はアフガニスタンの油田や鉱山に460億円以上の投資をしており、友好関係を結ぶことのメリットは大きい。だが、存在感が高まるほどテロの標的となるリスクも高まる」という――。
中国外相のタリバン勝利を祝福するかのような発言
「アフガタニスタン情勢は20年前に戻った、米国の大失敗」
「アフガニスタンの教訓から台湾当局は学ぶべきだ」
タリバンの攻勢によってアフガニスタンの首都カブールは陥落した。人民日報系列の中国紙「環球時報」は上述の見出しの社説を連日にわたり掲載し、米国の無力をあざわらった。メディアだけではない、中国政府からも同様のメッセージが発せられている。
カブール陥落からさかのぼること約2週間、7月末には中国の王毅(ワン・イー)外相が中国・天津市でタリバンの代表者と会見した。
席上、王外相は「米国と北大西洋条約機構(NATO)のアフガニスタンからの撤退は、米国の対アフガニスタン政策の失敗を意味するものである。アフガニスタン人民は自国を安定させ、発展させる重要なチャンスを得た」と、まるでタリバンの勝利を祝福するかのような発言を行っている。
米中の対立が激化するなかで、米国の失点が中国の得点になる……。ついついそうした目で見てしまいがちだが、実際にはアフガニスタン情勢の転換は中国にとっても厳しい課題である。