アメリカ人大学生の最近の楽しみは…
コロナ禍のアメリカで今、「日本のお菓子ボックス」が話題になっている。そこには世界に広まる日本のお菓子の可能性だけでなく、ミレニアル&Z世代の新たなビジネスや消費のスタイルが浮かび上がってくる。
この夏はニューヨークの若者にとっては散々な夏だった。高校も大学も3月から始まったが、リモート授業が延々と続き、感染が怖いから息抜きに外に出るのもままならない。毎年5月にあるはずの卒業式もなかった。
筆者が出演しているJFNラジオのコーナー「NYフューチャーラボ ミレニアルZ世代研究所」もズーム収録だ。ゲストのアメリカ人大学生に毎回「何か変わったことあった?」と聞いても、楽しいことなどそうそうあるわけがない。ところが大学を卒業したばかりのメアリーが、開口一番ニコニコしながら言った。
「新しくボックス・サブスク始めました」
うまい棒、じゃがビー、アポロも!
ボックス・サブスクリプションといえば、ここ数年アメリカで最も話題になっている新たな消費スタイルの一つだ。毎月一定の購読料を払うと、コスメやペット用品などが、おしゃれなデザインの箱に入って届く。服や歯ブラシなど、今やありとあらゆるジャンルに広がっている。
外出制限が課され、自宅待機生活に入ってからは、eコマースの一つとしてボックス・サブスクも好調で、アメリカ人の5人に1人が何らかのボックスを購入したという数字もある。
メアリーが始めたサブスクは「TokyoTreat」が展開する日本のお菓子だ。うまい棒やふ菓子、キャベツ太郎といった駄菓子から、カラムーチョ、じゃがビー、キャラメルコーンといったスナック、ポッキーやきのこの山、アポロといったチョコ菓子まで。世界中で販売されているオレオの「桜シフォンケーキ味」といった日本限定商品もラインナップされている。
人気のプレミアムボックスは月に31ドル50セント(日本円で3200円程度)。オレンジ色のボックスに17種類のお菓子とドリンクが一本入って日本から直接届く。日本好きなメアリーにとっては、自宅待機のつまらない日常を楽しくしてくれる、月に一度の大切なスペシャル・デリバリーだ。
実はこうした日本のお菓子のサブスクは今大きな注目を集めている。