コロナ禍で料理系のサブスクが人気に

パンデミック発生後、最初に注目されたボックスは食材とレシピがセットになったミールキットだ。ミレニアル世代でラジオのメンバー、テツはこれがなければ生きていけないとまで言っていたが、レストランに行けなくなった一人暮らしの学生や会社員にとって命綱と言ってもいいだろう。

食事がなんとかなれば、次はスナックだ。特に若者は食事以上にスナックが好きな世代であり、リモートワークの増加で自宅でのスナック需要も増えた。アメリカのネットメディアでは人気のスナック・ボックス・サブスクの特集記事が載り始め、その中で必ず登場するのが日本菓子のサービスだ。

前出したTokyoTreatの他にも「Japan Crate」「Japan Candy Box」「Sunakku」などざっと検索しただけでも10種類、ほとんどがスーパーやコンビニで売っているお菓子だが、中には「Bokku」という日本の地方の珍しいお菓子が届くサブスクもある。

一体どんな会社で、どんな人がやっているのだろう? 早速TokyoTreatにコンタクトを試みた。返事は英語で返ってきたが、実は社員はほとんど全員東京を拠点にしていて、CEOは日本人の女性だった。

お土産のお菓子を買う観光客がヒントに

TokyoTreatのCEO近本あゆみさんは、元々リクルートのeコマース部門で働いていたが、その頃から、これからのeコマースは国内市場だけを見ていたら頭打ちだと思っていたという。その後、世界に向けたeコマースを目指し起業、何を売ろうかと考えた時にヒントになったのが、その頃から急激に増え始めたインバウンドの観光客だった。

「TokyoTreat」CEOの近本あゆみさん
写真=TokyoTreat
「TokyoTreat」CEOの近本あゆみさん

空港などのショップで彼らが必ず手にとってお土産として持ち帰るのがお菓子だったからだ。外国人のビジネスパートナーから、海外での日本のお菓子人気について聞かされていたのも理由だ。さらに当時、前述したボックス・サブスクがトレンドの最先端だったことに目をつけ、2015年3月「TokyoTreat」をローンチ。当初は1日1個の売り上げだったのが、今では世界140カ国に発送するまでになった。

東京タワーが見えるオフィスに数十人の社員を抱えその半分は外国人、売り上げの具体的な数字は教えてもらえなかったが、無料メルマガ会員を入れた数は100万人。10月のハロウィーンをテーマにしたボックスは、前月の30%増の売り上げだったという。確かにアメリカではハロウィーン前にキャンディやチョコレートの売り上げが急上昇するが、それを差し引いても毎月順調に売り上げを伸ばしているようだ。

アニメテーマのお菓子も多く、16~35歳の若い世代が購入者だ。「サイト上には日本のお菓子を通じて世界の若者のコミュニティが生まれている」と近本さんの目が輝く。