発売34年目になっても人気上昇中
今年の夏は梅雨明け後は好天が続いたが、多くの人が「巣ごもり」を余儀なくされた。新型コロナウイルスの感染が再び拡大し、各自治体の移動自粛もあり、遠出や旅行を自重したからだ。
9月に入り、政府が主導する「Go To トラベルキャンペーン」で4連休中の人出は増えたが、以前のような自由に行き来するという風潮にはなっていない。
そうした閉塞感の中、消費者が選んだのが身近な気分転換だ。例えば全国の小売店で買えるアイスクリーム(家庭用アイス)は、全体で前年比約104%(1月~8月までの累計)に伸びた。
その業界平均を大きく上回る前年同期比120%の伸びを示したブランドがある。江崎グリコの「アイスの実」だ。昔からある球状のアイスで、通常の商品は1袋12個入り。
発売して34年目のロングセラーブランドは、なぜ今回、ここまで伸びたのか。同社を取材してブランドのこだわりや、残された課題を聞いた。
ターゲットは20~40代の働く女性
「アイスの実は、主に働く女性の方にご支持いただいています。現在のコアターゲットは20代~40代の働く女性で、実際に食べられる方もこの世代の女性が多い。そこで『仕事の合間の気分転換』や『息抜きをしてもうひと頑張り』も訴求しており、イメージキャラクターである女優の吉高由里子さんが演じるCMもこの路線で制作しています」
同ブランドを担当する、マーケティング本部・アイスクリームマーケティング部の若生みず穂さんはこう説明する。江崎グリコに入社後は、東京で量販店の営業を行い、その後は、本社のある大阪の事業部で「カロリーコントロールアイス(現:SUNAO)」(からだにやさしい、カロリー控えめアイス)のマーケティングを担当後、現職に就いた。
現在の愛用者の割合は、女性が約6割、男性が約4割だという。そんなブランドが、なぜ、コロナ禍でよりいっそう支持を高めたのか。