江崎グリコの「アイスの実」が、前年比120%増と売り上げを伸ばしている。在宅勤務中も食べられる手軽さが支持されているが、ここ数年の伸びを支えているのは、2013年に行った「カラフル」から「一色」への路線変更だ。同社が「実は中身はガラリと変わっています」というほどの大変化とは――。

発売34年目になっても人気上昇中

今年の夏は梅雨明け後は好天が続いたが、多くの人が「巣ごもり」を余儀なくされた。新型コロナウイルスの感染が再び拡大し、各自治体の移動自粛もあり、遠出や旅行を自重したからだ。

9月に入り、政府が主導する「Go To トラベルキャンペーン」で4連休中の人出は増えたが、以前のような自由に行き来するという風潮にはなっていない。

1986年に発売された「キャンディーボール アイスの実」
1986年に発売された「キャンディーボール アイスの実」(写真提供=江崎グリコ)

そうした閉塞感の中、消費者が選んだのが身近な気分転換だ。例えば全国の小売店で買えるアイスクリーム(家庭用アイス)は、全体で前年比約104%(1月~8月までの累計)に伸びた。

その業界平均を大きく上回る前年同期比120%の伸びを示したブランドがある。江崎グリコの「アイスの実」だ。昔からある球状のアイスで、通常の商品は1袋12個入り。

発売して34年目のロングセラーブランドは、なぜ今回、ここまで伸びたのか。同社を取材してブランドのこだわりや、残された課題を聞いた。

ターゲットは20~40代の働く女性

「アイスの実は、主に働く女性の方にご支持いただいています。現在のコアターゲットは20代~40代の働く女性で、実際に食べられる方もこの世代の女性が多い。そこで『仕事の合間の気分転換』や『息抜きをしてもうひと頑張り』も訴求しており、イメージキャラクターである女優の吉高由里子さんが演じるCMもこの路線で制作しています」

同ブランドを担当する、マーケティング本部・アイスクリームマーケティング部の若生わこうみず穂さんはこう説明する。江崎グリコに入社後は、東京で量販店の営業を行い、その後は、本社のある大阪の事業部で「カロリーコントロールアイス(現:SUNAO)」(からだにやさしい、カロリー控えめアイス)のマーケティングを担当後、現職に就いた。

マーケティング本部・アイスクリームマーケティング部の若生みず穂さん
撮影=プレジデントオンライン編集部
マーケティング本部・アイスクリームマーケティング部の若生みず穂さん

現在の愛用者の割合は、女性が約6割、男性が約4割だという。そんなブランドが、なぜ、コロナ禍でよりいっそう支持を高めたのか。