26歳独身会社員の男性は、コロナ禍で自己資金がなかったにもかかわらず4890万円の分譲マンションを“勢い”で購入した。ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんは「頭金は親に借りて、残りは35年ローン。毎月8万6000円、年2回のボーナス時に15万円余り返済する。今後、安定した収入が続くか、変動金利はどう変わるか。リスクも多い」と指摘する――。
空っぽの部屋に座り込む男性
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一生のうち、最も大きな買い物と言われるマイホーム。コロナ禍でも、人々のマイホーム購入への熱意は冷める気配がないように見える。

コロナ禍による収入減で家計困窮に悲鳴を上げる人が増える一方、今のところ給料は減らない人もいる。その場合、外食や旅行などの機会が減って節約できたり、株高の恩恵を受けたりして家計も健全そのもの。そこで、マイホーム購入という話になる。

「優遇されている間に住宅ローン減税の恩恵をフルに受けたい」
「在宅ワークの増加で住環境改善のニーズが高まった」

購入の動機はさまざまだが、最近、住宅ローンに関する相談は少なくない。

2021年2月下旬に、長期金利が一時0.175%と、およそ5年ぶりの高水準となった。これを受け、固定金利やフラット35の金利がやや上昇。変動金利は変わらないものの、景気の先行き不透明感もあり、住宅ローンを選ぶ際に金利動向を懸念する声は増えている。

本稿では、独身にもかかわらず、勢いで3LDKの分譲マンションを購入してしまった20代独身男性の住宅ローン計画を紹介しながら、これから住宅ローンを組む場合に注意すべき点をお伝えしたい。

頭金500万円は親から援助。20代で約4400万円の住宅ローン

東京都内在住の梅澤健一郎さん(仮名・26歳)は、年収約600万円の会社員(IT系)。まだ独身だが、現在、交際中の彼女と、もうそろそろ結婚の話も出ている。

そんな矢先、趣味のサイクリングの最中、荒川沿いの閑静な住宅地の物件が目に留まった。

調べると、周辺の賃貸と比較しても物件価格は割安で、どうにも気になって仕方がない。

20代で、しかも独身のうちから住宅を購入するなど、これまで考えたことがなかったが、彼女も前向き。さらにいろいろ調べてみて、住宅ローン減税やすまい給付金などを活用すると、今の賃貸マンションの家賃より住宅ローン返済のほうが4万円も安くなるではないか。

それからは、ネットで住宅購入の記事を片っ端からチェックし、自分なりに検討した結果、購入したほうがおトクという結論に達した。

残る問題は自己資金である。