貯金ができない人はどうすればいいのか。ファイナンシャルプランナーの高山一恵さんは「年収800万円くらいになると『自分は高給取りだ』と思う人が多い。そういう人ほど、無意識にお金を使ってしまう傾向がある。思考停止には要注意だ」という――。

※この連載「高山一恵のお金の細道」では、高山氏のもとに寄せられた相談内容をもとに、お金との付き合い方をレクチャーしていきます。相談者のプライバシーに考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。

実業家
写真=iStock.com/monzenmachi
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年収800万なのに、貯金は200万円

柴田さん(仮名/39歳)のケース
夫 会社員 年収800万円
妻 専業主婦 年収0円
子 10歳 小学生
住まい 分譲マンション(住宅ローン 毎月17万円 ※管理費・修繕積立金込)

「お金持ち」といえる年収っていくらからだと思いますか? ファイナンシャルプランナーとして日々感じるのは、「年収800万円」という数字が皆さんの中でひとつ「稼いでいる」指標になっているのかな、ということです。

日本人なら誰もが知る大手メーカーに勤める柴田拓真さん(仮名/39歳)も年収800万円で、「自分は高給取りである」という意識をハッキリと持っていました。

そんな柴田さんが私のもとにやってきたのは、新型コロナの影響で「高給取り」から転落しつつある危機感と、目減りしていく貯金に焦りを覚えたからでした。後ほど詳しく説明しますが、柴田さんの貯金は200万円。年収の割には少ない額だったため、今の生活を変えないと早晩、破綻してしまう可能性が高いことをキャッシュフロー表で指摘すると、彼はムッとしてこう言ったんです。

「うちがダメなら他の家はどうなるんですか!」

生活のすみずみまで「ワンランク上」を選ぶ

実は私、このセリフを何度か言われたことがありました。それも柴田さんと同じく一部上場企業に勤める「高給取り男性」で、若干キレ気味な言い方も同じ。「日本の上層部に位置する自分たちがダメなら、その他大勢の下々の者は全員ダメに違いない」という、エリート意識からくる見下し思考……なのでしょうか。

しかもこの特権意識、本人だけでなく妻、そして子どもにまで及んでいる場合もあります。それは私がとやかく言う問題ではないので置いておくとしても、この思考はファイナンス的にも非常に厄介なことが多い。というのも、生活のすみずみに渡って、自然と「ワンランク上」を選んでしまうからなんです。

柴田さんは都内23区で高級マンションを購入し、子どもには最高の教育環境を提供すべく、10歳の今も習い事をかけもちさせており、将来は中学受験をする予定です。スーパーは成城石井を普段使いし、シンプルなデザインであっても洋服はユニクロでなく、ユナイテッドアローズなどのセレクトショップ。お家のダイニングにはウォーターサーバーがあります。どれも、このタイプの「お金を貯められない世帯」に多い傾向です。

収入が増えれば増えるほど支出も膨張するという「パーキンソンの法則」通り、柴田さんの家庭は年収800万円に見合った生活を自然と選んでいるようでした。