専業主婦の離婚は難しい。ファイナンシャルプランナーの高山一恵さんは「私のところにも『自分で稼ぐ自信がないから離婚できない』という悩みを抱えた女性が相談にくる。そのときには3つのアドバイスを伝えている」という――。
※この連載「高山一恵のお金の細道」では、高山氏のもとに寄せられた相談内容をもとに、お金との付き合い方をレクチャーしていきます。相談者のプライバシーに考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。
「自分で稼ぐ自信がないから離婚できない」
神山さん(仮名/30歳)のケース
専業主婦 年収0円
↓
看護師 年収700万円
専業主婦 年収0円
↓
看護師 年収700万円
「夫は声が大きくて圧が強いので、何か言われると恐怖ですくんでしまい、思考がストップしてしまうんです。それに、彼より自分の稼ぎが少ないことを引け目に感じていたので、盾突くようなこともできませんでした」
「自分で稼ぐ自信がないから離婚に踏み切れない」――。そんな女性の相談に乗ることが少なくありません。夫との収入格差が大きい専業主婦や派遣社員の妻たちが夫婦関係に問題を抱えた場合、経済的な不安から夫と袂を分かつことができず、不幸な結婚を選び続けてしまう。お子さんがいるとなおさら、「私さえ我慢すれば“家族”は保たれるんだ」と、自分の気持ちに蓋をしてしまうのです。
20代前半で結婚→専業主婦に
冒頭のセリフは、当時25歳だった神山塔子さん(仮名)が漏らしたものでした。神山さんは貿易関係の事務員として働いていた20代前半のとき、20歳上の管理職の男性と結婚。寿退社した後は派遣社員をしていましたが、「俺の稼ぎで十分なのになんで働くの?」という夫からの度重なるプレッシャーにより、専業主婦になります。
交際当時から束縛の厳しかった夫ですが、彼女が家に入るとさらに監視の目は厳しくなり、友達と飲みに行くのも難しい状況に。生活費に不満はなくとも、夫に細かく家計簿をチェックされるため、自分の好きなものを買う気も起きません。「好きに使っていいよ」と持たされているカードも明細が夫の手元に渡るため、「結局は自分の監視下に置くための策なんですよ……」と、神山さんは力なく笑っていました。