「手に職、貯金、お金の知識」で万が一に備える
夫婦の場合、家計をオープンにして互いの財布をブラックボックス化させないことは基本の「き」です。世帯のキャッシュフローを「見える化」することで資産形成が飛躍的にしやすくなるため、FP的にも全面的におすすめしている……のですが、どんな夫婦であれ、「離婚」の可能性は常に頭に入れておきたいところです。
夫婦が一生、夫婦として添い遂げられる保証はどこにもありません。万が一問題が起きたときに不幸な結婚を続けなくてもいいように、言葉は古いですが、「へそくり」として最低限の資産を手元に置いておくのがいいと思います。
特に今現在、専業主婦であったり不安定な雇用状況にある方は弱い立場に置かれやすいので、自衛のためにいち早く用意されることをおすすめします。
ただ、自由度を確保するためにもっとも必要なのは、神山さんのような「手に職」であることは間違いありません。その次に貯金(へそくり)、お金の知識です。
お金の知識は資産運用という意味だけではありません。ひとり親には国や地方自治体から受けられる支援がいくつもあったりします。申請してはじめて受けられるものもあるので、そういった知識もお金のスキルになります。また、離婚後に養育費を貰えず泣き寝入りにしてしまう方も多いですが、決して口約束で終わらせず、離婚に際して公正証書を作ることで支払いに強制力を持たせることができるのです。これも立派なお金の知識です。
精神的・経済的に自立している夫婦はうまくいきやすい
若い女性と話すと、「自分の姓を名乗りたいから夫婦別姓が可能になるまで事実婚でいい」とか、「結婚に興味はないけど、子どもだけほしい」といった声をよく聞きます。そんな彼女たちの考えに触れる度、私が20代のときに考えていた「男の人に養ってもらう」家族観は自立から程遠く、男女平等の観点からも歪んだものだったなと改めて感じます。
実際、うまくいっているご家庭を振り返ってみると、人間的に成熟した者同士、互いを尊重し合って暮らしている感じがします。非常に逆説的な話になりますが、精神的にも経済的にも自立した者同士、結婚しなくても成り立つ2人だからこそ、あえて結婚する。それくらいの関係性ではじめて「結婚」が成り立つのかなと最近は思います。
また結婚の有無は別として、互いに家計管理がきちんとできるのであれば、パートナーと共通の目標を持ちつつも、それ以外の部分に関しては自分で管理するものアリでしょう。