家を買うときに気をつけるべきことは何か。ファイナンシャル・プランナーの高山一恵さんは「7000万円のマンションを買った世帯年収700万円の夫婦が、家計のやりくりに困って相談にやってきた。ローン計画は非常にナンセンスなものだった」という――。

※この連載「高山一恵のお金の細道」では、高山氏のもとに寄せられた相談内容をもとに、お金との付き合い方をレクチャーしていきます。相談者のプライバシーに考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。

マンション
写真=iStock.com/CHUNYIP WONG
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7000万タワマンを35年ローンで購入

小林さん(仮名/36歳)のケース
夫 会社員 年収700万円
妻 パート 月収3~5万円
子 3歳 幼稚園
住まい 分譲マンション(住宅ローン20万円 ※管理費・修繕積立金込)

住まいについて、「分譲or賃貸」はいつも激しい論争になります。コストだけで言えば、生涯にわたって支払う住居費用はどちらもそう変わりません。買ったら買ったでメンテナンスや管理費にお金がかかりますし、そもそも人生100年時代の今、寿命によってどちらが得かは大きく変わってきます。

ただし、「どちらでもいい」と言われて納得される方は少数でしょう。実際のケースをみてみると、イメージしやすいと思います。今回は「ローンで詰んだ」小林寿一さん(仮名/36歳)の例を入り口に考えてみましょう。

小林さん夫婦が私のもとにやってきたのは、都内のタワーマンションに暮らしはじめて1年ほど経った頃でした。レクリエーションルームやライブラリー、宿泊施設も整った高級マンションは、彼らにとって手に入れたくて仕方のない物件だったそうです。夢のタワマンを、小林さん一家は7000万円で手に入れました。両親から援助してもらった1000万円を頭金に、残り6000万円を35年ローンで借りたのです。

ローンは変動金利と固定金利を組み合わせたかたちで、ならすと金利は約1%。すると毎月の返済額は約17万円になります。そこへ管理費2.5万円が加わり、毎月約20万円が住居費に消えるようになりました。小林さんの年収は700万円で、毎月の手取りは約45万円。支出の半分近くがローンということになります。妻はパート勤務で月収は3~5万円程度。そのお金はほぼお小遣いとして消えていました。

ローンで借りられる金額と返せる金額は違う

毎月20万円の住居費を70歳まで払い続ける……。ずばり、小林さんのローン計画はファイナンシャル・プランナーの目から見て非常に、ナンセンスです。

はじめて家を借りるとき、「収入の1/3くらい」の家賃で家を探しませんでしたか。ローンを組んで家を買うときにも同じようなことが言えます。これを「返済負担率」といって、年収に対して年間で返すローン金額を「25%以内」に収めると堅実とされています。

年収700万円の小林さんに上記のローンの条件を当てはめると、ローンとして借りられる金額は5000万円程度。毎月の返済額は、約14万円となります。ただし、気をつけたいのが、返済負担率は、税込の年収で計算していることです。実際のローン返済は、毎月の手取り収入から返します。そうすると、小林さんの場合、毎月の手取り収入が45万円ですから、14万円のローンでも毎月の収入に対するローンの負担割合は30%を超えてしまいます。しかも管理費・修繕積立金を考慮するともっと割合が増えてしまいます。毎月20万円のローン返済に対して、私がナンセンスと一刀両断した理由もおわかりいただけるかと思います。