東北地方在住の44歳の女性は夫と二人暮らし。専業主婦で家計を任されているが、家計は毎月赤字だ。貯蓄もほぼゼロで老後資金に不安がある。貯蓄できない理由を探っていくと、自身が通っていた月9万円近い哲学の教室の費用が家計を圧迫していたことが判明。だが、ファイナンシャルプランナーの横山光昭さんは、月6万円の黒字に転換させた。その秘策とは――。
赤字家計の原因は大きすぎる「妻費」にあった
「このままでは老後資金が足りないので、なんとか貯められるようになりたいんです」
東北地方に住んでいる高崎美和さん(仮名・44歳)。コロナ禍のため、オンラインで家計相談を受けました。
美和さんは会社員の夫、健司さん(46歳)と二人暮らしです。20年前に結婚し、子どもを望んではいたのですが、美和さんが手術を要する病気にかかりました。今では完治しているのですが、そのような事情で子どもをあきらめ、夫婦二人で暮らしてきました。妻の病気がよくなってきても体力的な不安があり、パートをしても継続できないため、妻はずっと専業主婦。夫の収入だけで暮らしてきました。
老後資金が足りない、と不安に思う理由は、現在の貯金がたった20万円で“ほぼゼロ”と言えるから。夫は毎月33万円を超える手取り収入があります。加えて70歳半ばに差し掛かろうかという妻の70代の両親は、娘を不憫に思ってか、健司さんに申し訳なく思ってか、美和さんから生活費が不足すると聞いて毎月3万円を仕送りしてくれています。
収入はトータル36万円を超えるほどあり、十分にやりくり可能に思えるのですが、家計は毎月1万~2万円の赤字になりがち。この赤字が影響し、年間100万円ほど出る夫のボーナスも全然残りません。「このままではいけない」と思い、支出の見直しを始めました。まだ赤字は残っているのですが、以前よりはその赤字額が減っていると話します。
毎月の支出内容を聞くと、食費、水道光熱費、日用品代など、支出はそこそこコントロールされているように思えます。では、なぜ赤字なのか。いったい何が総支出を多くしているのか。それは、大きすぎる「妻費」に原因があることがわかりました。