年金は何歳から受け取るのが一番得なのか。老後問題解決コンサルタントの横手彰太さんは「60歳からの場合は年金の受給額が3割もカットされる。『もらえるものは、さっさともらおう』としても、国は甘くはない。お勧めは『68歳』から受け取ることだ」という――。

※本稿は、横手彰太『老後の年表 人生後半50年でいつ、何が起きるの…? で、私はどうすればいいの??』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

年金手帳
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年金は頼もしすぎる不労所得

年金は、老後の生活設計をする上で、まさにエースで4番の働きをしてくれる存在。受給要件を満たせば、働かなくても、入院しても、奥様とケンカしても、株が大暴落しても、亡くなるまで永続的にもらえます。こんなに頼もしい不労収入はありません。

ただし、こんなに頼りになる年金も育成期間が必要。40年間にわたって大事に育てないといけません。つまり、年金保険料を一定期間納めていない人は、満額を受給することはできないのです。サラリーマン、公務員は、40年間の給料の平均から厚生年金額が決まります。

50代の時に年収1000万円を超えたからといっても、その時期の給与額に応じた年金がもらえるわけではありません。

もしあなたに年金保険料を支払っていない期間がある場合には、「追納」という制度があります。追納とは、年金保険料を10年までさかのぼって支払うことができる制度のことで、これによって将来の年金受給額の減少を防ぐことが可能。なお、3年以上前の年金保険料を追納する場合は、経過期間に応じた加算額が上乗せされるので注意が必要です。

しかも追納をするためには、年金保険料の支払い猶予や免除の申請をしている必要があります。これらの申請をせずに年金保険料を支払わないことを「未納」といい、未納分の保険料を後から支払うことはできません。

いずれにしても重要なことは、年金の受給額から社会保険料、税金も1割ぐらい引かれることを想定して、実際の手取り額を把握することです。将来の年金受給額は「ねんきんネット」で確認することができるので、今のうちから将来の年金額や生活費を確認して、計画を立てておきましょう。

こうして事実確認をすることで、物事の解決方法が決まってきます。仮に年金受給額15万円で生活費が20万円の場合は、5万円の埋め合わせをどうすればいいのかを考えればいいのです。事実を知れば、老後資金の不安も今までよりは減るでしょう。