改正前後で比較する「得する受給開始年齢」

どの年齢で追い越すのかを、現行の制度と、改正後の制度(2022年4月から)とで見てみましょう。いずれでも、条件は次のように仮定します。

● 65歳から毎月20万円年金をもらう
● 各々の年齢で1年分受け取れる
● 受給開始年齢を60歳にすると月額14万円。逆に、70歳に先延ばしすると月額28万4000円受け取ることができる
●65歳受給開始の場合、60歳受給開始より受取総額が多くなるのは76歳から
●68歳受給開始の場合、60歳受給開始より受取総額が多くなるのは78歳から、65歳受給開始より多くなるのは79歳から
●70歳受給開始の場合、60歳受給開始より受取総額が多くなるのは79歳から、65歳受給開始より多くなるのは81歳から、68歳受給開始より多くなるのは84歳から
年齢と年金受取総額との関係(現行制度の場合)

同様に分析すると、改正後については次のようになります。

改正後(2022年4月施行)の場合
● 受給開始年齢を60歳にすると月額15・2万円。逆に、70歳に先延ばしすると月額28万4000円、75歳にすると月額36万8000円受け取ることができる
●65歳受給開始の場合、60歳受給開始より受取総額が多くなるのは80歳から
●68歳受給開始の場合、60歳受給開始より受取総額が多くなるのは80歳から、65歳受給開始より多くなるのは79歳から
●70歳受給開始の場合、60歳受給開始より受取総額が多くなるのは81歳から、65歳受給開始より多くなるのも81歳から、68歳受給開始より多くなるのは84歳から
●75歳受給開始の場合、60歳受給開始より受取総額が多くなるのは85歳から、65歳受給開始より多くなるのは86歳から、68歳受給開始より多くなるのは89歳から、70歳受給開始より多くなるのは91歳から

家系的に長生きする、でも預貯金が寂しい、子どもがまだ自立していないなど不安要素がある人は、70歳まで働くプランを作り、68歳になった時に一旦「しんどいから仕事を辞める」「生きがいのために働き続ける」という2つの選択肢を選べるようにしておくのがベストです。

65歳から年金受給を3年先延ばししただけでも、125.2%の年金額アップが一生涯続きます。投資信託や個別株で儲けようとしても、これほど確実に増やせる方法はありません。