「アメリカのような外国の政府に干渉する権利はない」
アメリカのアラスカ州アンカレジで行われた外交トップ同士による米中会談が、2日間の日程をこなして3月19日に終わった。米バイデン政権発足後初めての米中会談にもかかわらず、冒頭から米中双方がお互いを批判し、「新冷戦」と指摘される米中関係の対立を国際社会に見せつけた。
アメリカは新疆ウイグル自治区やチベット自治区、香港、台湾の問題、それにサイバー攻撃の被害を取り上げ、中国を追及した。
中国は新疆ウイグル地区で少数民族に対するジェノサイド(集団殺害)が行われたとするアメリカの批判に「今世紀最大のウソだ」と強く反発した。香港での民主派排除の選挙制度の見直しについては「あくまでも中国の内政だ。アメリカのような外国の政府に干渉する権利はない」と主張した。台湾への軍事的威嚇などに対しては「台湾は中国の一部で、中国政府に妥協や譲歩の余地はない」と訴え、アメリカに台湾への武器売却の停止を要求した。
米中それぞれ2分ずつのはずが、1時間以上の応酬に
米中会談には、アメリカからブリンケン国務長官とサリバン国家安全保障担当大統領補佐官、中国からは楊潔篪(ヤン・チエチー)共産党政治局員と王毅(ワン・イー)国務委員兼外相がそれぞれ出席した。米中が課題や懸案事項について考え方を述べ合うのが会談の目的で、冒頭の発言はそれぞれ2分ずつの予定だった。だが、冒頭発言は大幅に延長され、1時間以上の応酬が続いた。
それにしても「ウソ」「内政干渉」「妥協はしない」など中国側の発言はなんとも乱暴で挑発的である。
中国は香港や台湾などに関して「核心的利益」と呼び、「中国の限界線を越えることを試みるな」との発言も繰り返した。さらに「中国政府はアメリカに挑戦するつもりはない。しかし、アメリカは中国が世界に与える影響力には向き合うべきだ」とも力説した。
実に勝手極まる中国の主張である。