朝日社説はお得意の「喧嘩両成敗論」を持ち出す
3月21日付の朝日新聞の社説は「米中協議 健全な共存描く対話を」との見出しを掲げてこう指摘する。
「米バイデン政権発足後に初めて開かれた米国と中国の高官協議である。報道陣の眼前で米国は中国の『強要』や『脅威』を非難し、中国は米国の『非礼』や『偽善』をあげつらった」
「強要」と「脅威」に「非礼」と「偽善」。米中の応酬の激しさはよく分かるが、悪いのは中国である。一党独裁によって政治・軍事体制を築き上げ、世界第2位の経済力を得た中国の覇権主義に大きな問題がある。それにもかかわらず、朝日社説はお得意の歪んだ「喧嘩両成敗論」を持ち出し、こうも指摘する。
「双方とも自国向けに強硬さを演出する思惑もあっただろう」
「米側は、政権交代後の弱腰を見せたくない。中国も7月に共産党の建党100年を迎える。ただ、協議冒頭こそ異例だったが、米側の報道では、非公開協議は比較的冷静だったという」
そのうえで朝日社説は「今世紀の国際情勢を占う両国関係を安定化させるために、できる限り対話を広げ、意思疎通の努力を続けてもらいたい」と主張する。朝日社説は中国の覇権主義や自国中心の考え方を是とし、アメリカに「頭を下げろ」とでも言いたいのだろうか。朝日社説の主張は理解できない。
「米国の中国の変化を促す戦略は理にかなっている」と読売社説
3月21日付の読売新聞の社説は「米国が築いた自由や法の支配を基にする国際システムに対し、中国が力の行使を厭わず、改変を試みる例は枚挙にいとまがない」と指摘したうえで、こう主張する。
「バイデン政権は『米中関係の前進には中国がまず行動を変えねばならない』という立場だ。対話のための対話は行わず、同盟国との連携を深めながら、中国の変化を促す戦略は理にかなっている」
沙鴎一歩はこの読売社説の主張に賛成する。中国は国際社会の倫理に背き、強権的である。繰り返すが、間違っているのは中国だ。バイデン政権が日本などの同盟国と協力して中国対応を進めていくべきである。
読売社説は書く。
「中国側は共産党体制の優位を宣伝し、香港や台湾などの『内政問題』に米国は介入すべきでないと恫喝した。気候変動や感染症対策といった地球規模の課題を持ち出すことで『大国間の協調』に重点を置こうとしているのだろう」
「だが、中国が信頼に足る行動をとらなければ、協力関係は築けない。中国は自らの言動が国際社会の警戒心を増幅させている現実を直視し、ルールや国際約束の順守へと舵を切るべきだ」
確かに、米中会談では気候変動など利益が重なる分野では米中協力の確認ができたというが、中国はアメリカを利用して国際社会に自らの正しさを示したいのだろう。バイデン政権は中国を甘く見るべきではない。ここは何よりも中国を国際ルールに従わせることが重要である。
最後に読売社説は訴える。
「日本などの同盟国は、米中対立の長期化に備えて、中国の軍拡に対する抑止力強化や、先端技術で中国に依存しない体制作りを急ぐ必要がある。米中に軍事的緊張の激化や不測の衝突を回避するよう、自制も求めねばなるまい」
米中の対立は長く続くだろう。世界各国が中国に依存しないことが大切で、米中の軍事衝突を避けるために細心の注意を払うことも欠かせない。