新型コロナウイルス終息の見通しがつかない中、妊娠・出産を希望する人たちはどうすればいいのか。産婦人科医の宋美玄氏は、「年齢や希望する子どもの数によってベストなプランは変わってくる。しばらく妊活を待ったほうがよい場合もあるし、ウイルスの流行状況にかかわらず妊活を続けたほうがいい場合もある」という――。

※本稿は、宋美玄『産婦人科医が伝えたいコロナ時代の妊娠と出産』(星海社)の一部を再編集したものです。

妊娠中の女性
写真=iStock.com/Motortion
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「妊婦だから重症化しやすい」とはいえないものの…

これから妊娠を考えていたのに、新型コロナウイルスの流行のせいで計画が狂わされたという方はたくさんいると思います。

現在のところ、(何度も聞いたかもしれませんが)新型コロナウイルスに関しては、妊婦だから特別に感染しやすかったり重症化したりするという確固たるデータはありません。母から胎児への感染を疑う報告もわずかで、ウイルスのせいで流産や死産が引き起こされたと明らかに考えられる例もありません。

世界保健機関(WHO)も厚生労働省も、過剰に心配しすぎず、ほかの人と同じように予防対策をしていくことを推奨しています。

そんなふうに言われても、まだ症例が少なくて、感染症にかかったときの胎児への影響が完全にはわかっていないことや、ウイルスの流行拡大時には面会や立ち会い出産ができなくなることへの不安から、妊活を延期している人もいると思います。経済的な先行きが見えづらくなっているのも、妊娠を控える要因になっているでしょう。

少しでも良い環境で子どもを産んで育てたいと願うのは自然なことです。

もし、近い未来に新型コロナウイルスの流行が終息するのなら、その時期がわかってからライフプランを立てたいと誰もが思うことでしょう。

けれども、この流行がいつおさまって社会が元通りになるのか(それとも元通りにならないのか)は、今のところは誰にも予測ができません。