コロナ禍の妊娠・出産にはメリットもある

ウイルスの動向は読めませんが、何人子どもが欲しいのかという希望は自分で決められますし、妊娠しやすさも年齢がわかれば予測できるため、選択肢はある程度絞られてきます。

宋美玄『産婦人科医が伝えたいコロナ時代の妊娠と出産』(星海社)
宋美玄『産婦人科医が伝えたいコロナ時代の妊娠と出産』(星海社)

この例ではAさんは、2人目を産むことよりもコロナ禍を避けることを優先していますが、もし、子どもを2人産むことを優先順位の1位に考えた場合は、プランは少し変わってきます。2人目を産むときの年齢を考えて、状況を見極める期間を5年ではなく3年にし、3年経っても終息しなかったら妊娠に踏み切るというプランに変えた方がいいかもしれません。

年齢によるリミットが迫っていて、さらにどうしても子どもが欲しいという場合は、少しでも可能性を狭めないために、Bさんのような判断も大いにありだと思います。コロナ禍でも多少の不便とリスクを受け入れたら妊娠・出産は十分にできることが、この4月と5月の間に証明されたからです。

Cさんの場合は、結論を先延ばししても何も問題ありませんよね。そもそも、Cさんのような人はこの本を手に取らないと思いますが、絶対に子どもが欲しくてさらに年齢のリミットも迫っているのに、Cさんと同じようにノープランで過ごしていたら、あとで後悔してしまうかもしれません。

今すでに妊娠していて、もう少し待てばよかったなと思っている人もいるかもしれませんが、コロナ禍の妊娠・出産はデメリットばかりではありません。

現在、新型コロナウイルスは人々に大きなショックを与えていますので、妊娠を延期する人は増えるでしょう。この時期に妊娠をすれば、生まれてくる赤ちゃんは全体として少なくなると思います。

同年代の子どもが少なければ、保育園に入りやすいというメリットがあります。受験や就活なども競争倍率が下がり、生まれてきた子の人生面で有利に働くことがあるかもしれません。逆にいえば、コロナ終息宣言が出された途端にベビーブームが到来して、そこで生まれた子たちは人生の様々な面で競争率が高くなってしまうかもしれません(もちろん、たくさんの同級生にもまれて競争しながら育った子どもたちは、たくましいアフターコロナ世代として活躍してくれるでしょう)。

終息する場合としない場合、両方のケースを考えておく

何も考えずに、ただ流行が終息するのを待っているだけでは、人生の舵をウイルスに任せているようなものです。十年待ったのにワクチンも治療薬も開発できず、ウイルスの脅威はそのまま、人々は状況に慣れてしまって恐怖心が薄れ、誰も予防措置を取らなくなって、さらに流行は拡大し、高齢者や妊婦だけが怯えて暮らしているという未来だってあり得ます。

逆に、不便な思いをして不安を我慢しながらコロナ禍の中で出産をしたのに、すぐにワクチンができて、もう少し待てばよかったと後悔することも起きるかもしれません。

流行がおさまった場合と、おさまらない場合のどちらに賭けるか、という問題になってしまいます。どちらかに賭けて外れたら、取り返しがつきません。でも、両方のケースを考えておけば、大きく外れずに済むのではないでしょうか。

後悔しないプランを立てるために、コロナ禍での妊娠・出産について、怖がらず正しい情報を集めてみてください。

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