全員にPCR検査しても状況はそれほど変わらない

2020年6月の時点で、日本の感染者数は海外の多くの国々に比べてずいぶん少なく、感染者ゼロが続いている県もあります。

ですが、通常通りの社会に戻り、海外からの移動を受け入れるようになれば、再び流行が起こります。

今の社会では、自分の住んでいる地域の外に移動したり人と接触したりする状況を避けることはできません。たとえ自分の住んでいる地域だけ感染者ゼロになっても、そこに出入りする人たちの中に感染者がいれば、いつでも流行は起こってしまいます。

仮に全員にPCR検査をすることができても、状況はそれほど変わりません。なぜなら、その中に偽陰性(本当は感染しているのに陰性という結果が出ること)の人がいて、陰性だと安心して活動をしたら、感染は容易に広がるからです。

自覚症状がない人でも感染力をもつのが、このウイルスの厄介なところです。感染拡大を止めるには、すべての人を感染者とみなして人同士の接触を断つか、効果的なワクチンを多くの人に接種して感染しない人を増やすしかありません。

人同士の接触を断つ状態を長期間続けることは難しいでしょう。

ワクチンを待つ間にタイムリミットは迫っていく

効果的なワクチンが開発されて接種することができれば、もうウイルスを恐れなくても済みますが、ワクチンがいつ頃、開発されるのか。これも現段階では予想できません。何もかもうまくいって最短で半年から1年。うまくいかなければ5年から10年。さらに、いろいろがんばったけれど、結局、効果的なワクチンは開発できなかったということさえあり得ます。

もう少し時が経てば、ワクチンの開発状況やウイルスの流行の動向も今よりは見えてくるかもしれないので、もし、妊娠を望んでいる妊婦さんが現在35歳以下で、将来もちたい子どもの数に影響がなさそうであれば、しばらく様子を見て先が見通せるようになってから考えるという選択肢もあるでしょう。

赤ちゃんの手とママ
写真=iStock.com/batuhan toker
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しかし、30代後半から40代前半のアラフォーと呼ばれる年代の方々に関しては、何も考えずに1年待つと選択肢が狭まってしまいます。年齢とともに自然妊娠はしにくくなります。また、受精卵が着床しても育ち続けられずに流れてしまう確率は高まります。このため、35歳で約2割、40歳で約4割、42歳で約半分が流産に至ります。

さらに、年齢と妊娠の関係は、女性だけの問題ではありません。男性の年齢も関係してきます。男女ともにタイムリミットがあるのです。

これは初めての妊娠に限った話ではありません。2人目、3人目の妊娠に対しても体のタイムリミットは適用されます。1人目さえ早く産めば大丈夫というものではなくて、子どもを産もうが産むまいが、卵子は平等に歳を取っていきますし、精子を作る力も衰えていきます。

何も考えず、ノープランで状況を見守っていたら、あとで後悔することになるかもしれません。