あなたの職場の「最年長社員」はどんな人だろうか。コンビニ大手ローソンのスーパーバイザー(SV)として最年長だった五十嵐忠雄さん(59)は、「出世したいと思ったこともありますが、昇進試験に2度落ちてから、店舗指導の道を究めようと考え直しました」と語る。連載ルポ「最年長社員」、第8回は「コンビニエンスストア社員」——。

※取材は、2020年6月25日に実施。所属や肩書は当時のものです。なお五十風さんは8月10日に定年退職し、現在はローソンに継続再雇用されています。

ローソンの五十嵐忠雄さん(59)
撮影=森本真哉
ローソンの五十嵐忠雄さん(59)

年2回表彰された「結果を出すベテラン」

「一つの会社に勤め続ける良さは、愛着が育つことです。この会社と一緒に働く仲間のために頑張ってきた。そう思える仕事人生に、私は恵まれました」

いかにも真面目で誠実な人柄が伝わってくる五十嵐忠雄さん(59歳)は、全国コンビニチェーンのローソンの“最年長社員”だ。1983年に入社して以来、ローソン一筋。そのキャリアのほとんどを、店舗の経営指導を行うスーパーバイザー(SV)として、活気ある店舗づくりを支えてきた。一時はSVをまとめる主任やトレーナーとしても活躍したが、8年前から現場に戻り、今に至る。

経験が長いだけじゃない。エリア内で最も売上数値改善を達成したSVに贈られる「優秀SV賞」を、2017年度に2回達成。“結果を出すベテラン”として一目置かれる存在なのだ。

店舗スタッフと一緒にクリスマスケーキを売る

SVは1人で複数の店舗を担当し、日替わりで各店舗を巡回して個店に応じた店舗経営のアドバイスを実施したり、会社としての営業方針を伝えたりするのが主な仕事。時にはクルー(パート・アルバイトを含む店舗スタッフ)に接客の指導や新たに導入するサービスの説明を行うこともある。店舗ごとの売り上げを管理し、テコ入れが必要な店舗には個別に対策をとる。

2020年6月現在、五十嵐さんは大阪市東成区の7店舗を担当しており、これまで担当した店舗もすべて近畿エリア。「おそらく延べ100店くらいは担当してきた」と言うから、街角のあちこちに馴染みの顔があるに違いない。

SVという仕事の醍醐味は、「個店の目標・課題を店舗とともに発見し、納得したうえで取り組み、結果を出していくこと」。そのために丁寧に説明を尽くすだけでなく、“自ら一緒に動く”ことも心掛けてきた。

「五十嵐さんは最年長のベテランなのに、フットワークがとても軽い」と証言するのは、その仕事ぶりを間近で見てきた大阪南支店支店長の進藤龍太郎さん。「クルーさんと一緒に店舗周辺にクリスマスケーキ等のビラを配り、予約販売数を伸ばすなど、店舗スタッフと同じ目線になって働く。そんな姿を見せられたら、若手も刺激されますよ」(進藤さん)。

店舗巡回の時には、まず店頭のゴミ箱や傘立てが整頓されているかをチェックして、元気よく挨拶を。棚の入れ替えなどの作業には、一緒になって手足を動かし、普段から関係性づくりを大切にしてきた。