あなたの職場の「最年長社員」はどんな人だろうか。シダックスフードサービスの最年長パート社員である塩原りつ子さん(79)は、千葉県の一条会病院で調理補助をしている。多くの人がリタイアする年齢にもかかわらず、塩原さんが働き続けるのはなぜか。連載ルポ「最年長社員」、第11回は「病院給食調理補助」——。

※記事内の画像ではマスクを外していますが、通常はマスク着用の上、業務を行っています。

塩原りつ子さん
撮影=小野さやか

コロナ禍で「エッセンシャルワーカー」になった

コロナウイルスの蔓延で、エッセンシャルワーカーという言葉がにわかに注目されるようになった。医療、介護、保育、小売り、物流、交通など、日常生活の維持に欠かせない仕事に従事する人々を指す言葉だという。

千葉県市川市にある一条会病院の厨房で調理補助業務に従事する塩原りつ子も、文字通りエッセンシャルワーカーの一員ということになるが、本人の言葉からは、さほどの悲壮感は伝ってこない。

「みなさん、とても気を遣って仕事をされています。私も病院からの指示をしっかりと守っているので、コロナにはかかりませんよ(笑)」

御年79歳。一条会病院の厨房業務を請け負っているシダックスには多くのパート社員がいるが、塩原はすべてのパート社員の中で、文句なしの最年長者である。

ちなみに、シダックスと言えばカラオケを思い浮かべる人が多いと思うが、1959年の創業時は、富士食品工業として富士フイルムの社員食堂の運営を請け負っていた。社員食堂や病院・介護施設などの食堂の運営は、シダックスにとって祖業と言っていい。

「食事はまず、目で食べるもの」

塩原の勤務は現在、週に4日。入院患者がいる一条会病院では日に3度食事を提供する必要があり、塩原が担当するのは15時~20時の遅番。夕食の提供と後片づけが彼女の仕事だ。

「出勤すると、まず乾燥庫に収めてある食器類を取り出して振り分けます。温かいおかずと冷たいおかずがあるのでそれぞれを盛り付けた後、大皿といってメインディッシュの盛り付けをするんです」

盛り付けるのは約50食。疾病によってはメニューに制限があるから、間違いが起きないよう、栄養士と一緒に患者名と食事の内容を照合しながら配膳車に収めていく。

「糖尿さん、高血さん、膵臓さん、それにアレルギーの方もいますね。食事はまず、目で食べるものでしょう。だから私は、綺麗に盛り付けることを大切にしているんです。少しでも食べてほしいですからね」

18時からの夕食に間に合うよう、病室の前まで配膳車を押していく。19時になったら下膳。今度は配膳車を引き取りに行き、食器を洗浄し、乾燥庫に収め、厨房を清掃して1日の仕事が終わる。