「竹増さんの即決力は素晴らしいと思いました」
——今回のローソンのPBリニューアルでは、5月頃から「わかりにくい」といった批判がネット上で目立つようになりました。これに対し竹増貞信社長は6月9日にデザイン修正を発表しています。佐藤さんは作ったものをすぐ変えることに抵抗感はありましたか。
いやいやいや。デザインが変わることに抵抗感がないのはなぜか、今考えながら話しているんですけど、これはプロセスをすごく重視してきたからだと思います。PBはローソン自体を表現する商材でもあり、いかに柔軟性とスピードを持って変化させていけるかが重要だと考えています。
そして、今回の新PBデザインは、ローソンとして統一感を生むためのプラットフォームを意識しました。このプラットフォームには、「守り」と「攻め」の要素をもたせています。ローソンの世界観を体現しつつ、購入後の生活空間に馴染むように配慮したデザイン。これを「守り」とすれば、コラボレーションや期間限定商品など、売り場に変化をもたらす商品や次世代のヒット商品の受け皿になるのが「攻め」です。
まずは、「守り」の完成度をいかに高めていくかだと思います。まだ完成度は高くないので、一部の商品をブラッシュアップしていくことで、1年以内にこの完成度を高めていきたいです。
そしてこのプラットフォームをいかに「攻め」に使うか。それは他社のPBだとなかなか採れない戦略だと思います。今回のPBはベージュの地を大きく取ったので、デザイン面の自由度があります。例えば、抹茶を使った限定シリーズであれば上下に緑色の帯をつけるといった仕掛けができます。他にもさまざまなコラボレーションに対応しやすくなります。さらに、今後はシーンを絞り込んだ商品など、背景色をがらっと変えた新商品も進めています。
PB全体で700種類を半年で切り替えるわけですから、ミスが一切ないというのは難しい。短期間で今までと方向性を変えるため、なにかしらの弊害は出てしまうかもしれないと思っていました。さらに実際の売り場で起きていることや売り上げを確認しながら、発売後も常に変化させていかなければならない。だから修正がないように最善を尽くしましたが、変更が出てしまうことは想定していました。
むしろ僕としては、竹増さんが判断をして切り替えた、あのスピード感に感動しました。経営のトップが一つひとつの商品の見え方、オーナーさんやユーザーからの声を聞き、精査して優先順位を付ける。優先度の高いものから切り替えていく、あの即決力は素晴らしいと思いました。