ワークマンが業態の一つである「ワークマン女子」を廃止し、「ワークマンカラーズ」と統合することを発表した。ライターの南充浩さんは「ワークマンは作業服を一般客にも売るという手法で急成長を遂げてきたが、いまはそれが足かせになっている。屋号の統一以上に、続けなければいけない組織改編はほかにもある」という――。
#ワークマン女子店舗
画像=プレスリリースより

「ワークマン女子」が「カラーズ」に統合

急成長を続けてきたワークマンが、「ワークマン女子」の屋号を廃止して「ワークマンカラーズ」に統一することを発表しました。プレスリリースには「今後、本命だった郊外や地方のロードサイドへ出店を強化するにあたり、人口の少ない地方では幅広い客層を取り込むためには男性客も集客しやすいように店名をワークマン女子からワークマンカラーズに統一する」とあります。

また東京・銀座にある「イグジットメルサ銀座店」において「ワークマン女子からワークマンカラーズに改名しただけで、男性売場を拡大せずとも男性客が約10%増加したこと」もその理由として挙げています。

ワークマンは以前の決算会見で「ワークマン女子は男性客が増えにくい」と述べており、今回の一件はこれとリンクする施策だといえます。

私は昨年の9月の時点で、男性客不振の原因は商品企画内容ではなく「店名にある」と自身のブログで指摘していました。理由は至極簡単で、多くの男性は「ワークマン女子」という名の店にわざわざ足を運ぶことはしないためです。名は体を表すと昔から言いますが、「女子」と名付けている店を、男性客の多くはスルーします。入店するまでもなく店名だけで「女性向け」とわかっているのですから。

これは女性客も同様で「メンズショップ○○」という店名の店にわざわざ入店する人は少ないでしょう。ですから「男性客を増やしたいならワークマン女子という店名を廃止すべきである」とその時のブログで結論付けました。今回はまさにその通りになったといえ、至極まともな施策だと感じます。

男性客の取りっぱぐれが続いていた

ワークマン女子が出店している地方都市の人口は3万~7万人程度がほとんどです。単純に考えて男女比率が半々だとして、人口4万人なら女性は2万人となります。そのうち18歳以上の女性が5分の4の1万6000人と仮定すると、「ワークマン女子」という店名のままだと、いくら男性服を売っていてもこの1万6000人を取り込んだところで業績拡大はストップすることになります。男性客にもたくさん来てもらいたいなら「ワークマン女子」という店名を廃止するのは当たり前の決定です。

【図表】おもな地方のワークマン女子の店舗と行政人口
ワークマンHP、自治体HPなどを基にプレジデントオンライン編集部作成

今回は公式で発表されたこと以外に「ワークマン女子」という店名が廃止になった理由をいろいろと考えてみたいと思います。