1対1で面談するとき、言葉や態度などで人間関係がこじれてしまうケースがある。米ヒューストン大学のブレネー・ブラウン教授は「私はフィードバックをおこなうときはいつも、自分の核となる価値観を会話のなかに織り交ぜている。とくに『勇気』は大切だ」という――。

※本稿は、ブレネー・ブラウン、片桐恵理子訳『dare to lead リーダーに必要な勇気を磨く』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

オフィスで話し合っている二人のビジネスパーソン
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面談では相手の「正面」を避ける

とくに職場で直面する最大の課題は、「フィードバック」を与えたり受けたりする際に、自分の価値観がぶれないようにすることである。

すでに、拙著『本当の勇気は「弱さ」を認めること』でフィードバックのチェックリストをまとめたものがあるが、ここでもう一度検討したいと思う。前作は、前作のためのリサーチに基づいて執筆したが、それが今回のリーダーシップに関する新たなデータでも証明されたことをお伝えしたい。

これは、フィードバックの際に必要な「心構え」を示したガイドラインだ。あなたは適切な状態でフィードバックをおこなえているだろうか?

1.相手の「正面」ではなく、「隣」に座る

向かいあって座るのは、距離の問題だけでなく、本質的な対立関係の表れでもある。たまにだれかの向かいに座るのは問題ないが、かりにあなたと相手の間に大きな問題がある場合、大きなデスクはさらなる距離感を生みだすだけだ。これは権力の違いを示してもいる。

「解決のために手を貸す」という姿勢を見せる

2.問題を「自分と相手の間」に置くのではなく
(もしくは相手のほうへ押しやるのではなく)、「おたがいの正面」に置く

大きな問題をふたりの間に置くのと、ふたりの前に置くのとではまったく違う。ふたりの正面に置けば、問題を同じ視点で見ることができる。そして多くの場合、「あなたは間違っています」を「ちょっと変更したほうがいいかもしれません」に言い換えるとうまくいく。

だれかに問題への取り組み方を指摘されるのと、だれかがあなたの側に立って障害物を乗り越えられるよう手を貸してくれるのとでは、身体的体験としても、認知的体験としても、感情的体験としても、精神的体験としてもまったく異なる。

3.耳を傾け、質問をし、自分が問題を完全には理解しきれない可能性を受け入れる

好奇心に基づいて先を促したり、事実を求めたりするべきなのに、フィードバックの最中は、つい講義をするような口調になってしまうことがよくある。そして問題点を伝えながら、とにかくこの話しあいを時間内に終わらせようとする。

言いにくいフィードバックや気まずい会話はさっさとすませたいし、何度も話しあうはめになるのは絶対に避けたい。だがそうした機会を避けるのではなく、私たちは確固たる自信に身をゆだねなければならない。

「私はこう思います/これが私の視点から考えたことです/質問がたくさんあります/もう少しわかるように説明してもらえますか?」それからさらに掘り下げ、メモを取り、質問をしたら、こうつづける。「少し考える時間がほしいのですが、明日またお会いできますか? 質問したいことが出てきたら連絡しますので、そちらも質問があればご連絡ください」