なぜ人種差別はなくならないのか。投資家の金武偉氏は「人種差別は『無知と自己奉仕バイアス』による認知的飛躍から起こる。ある人種に対して差別意識を持っている人は現地の友人を1人でも作るといい」という——。
差別意識とはヒトの無知につけこむ心理現象
筆者はプレジデントオンラインにて、昨年9月に「反日・嫌韓に走る人々の滑稽ぶり」を遺伝子科学の視点から指摘し、今年3月には「区別ならぬ差別を見極める基準」について米国最高裁判例を引用して解説した。それを受けて、今月、国内大学からオンライン講演の依頼をいただいた。テーマは「新型コロナが、なぜ世界的人種差別につながってしまったのか」だった。
たしかに、新型コロナの感染拡大がはじまり、コロナ禍の人種差別に触れたエピソードを日々の報道で見聞きする機会は増えたという実感がある。
それでも筆者は、新型コロナが新たな差別主義者を生んだ、とは思っていない。差別意識は、ヒトの無知に虎視眈々とつけこむ心理現象として、常に渦巻いているものだ。新型コロナは、その差別意識が対外的に露呈するのを誘発したトリガーにすぎない。
本稿では、新型コロナを機会に改めて、人種差別の実態とその解決法について意見を述べる。