「入国お断り」と避け合う日中韓

日本で中国語を話す人にとって、肩身の狭い時期だ。今年1月には、店先に中国語で「中国人入店禁止」という張り紙を掲示した神奈川県の駄菓子店が話題になった。そればかりではない。この記事を書いている3月9日、日本政府は中国と韓国からの入国を制限する新たな措置を発動した。発行済みの査証(ビザ)の効力を停止するほか、検疫を強化する。

一方、海外では「日本人お断り」という動きもある。中国では2月、日本から江蘇省蘇州市に来た人に対し、14日間の自宅隔離と医学的観察に協力する求めを出した。山東省威海市でも日本から来た人については、ホテルに集中隔離し、14日間経過観察するとしている。

新型コロナウイルスは人々の外国人嫌悪と人種差別の意識を表面化してしまった。ウイルスの恐れがある外国人を「怖い」と思う気持ちはわかる。だからといって、特定の国籍や民族を名指しする、憎悪むき出しの対応は正当化されるべきだろうか。そもそも一体、正当な「区別」と不当な「差別」の境はどこにあるのか。本稿では、この問いを考えてみたい。

2月7日、韓国ソウルのカフェで見かけた「中国人お断り」と書かれた張紙
撮影=金 武偉
2月7日、韓国ソウルのカフェで見かけた「中国人お断り」と書かれた張紙