新型コロナウイルスの影響で、京都の観光客が激減している。京都在住のジャーナリスト・僧侶の鵜飼秀徳氏は「かつて冬の京都は閑散としていた。だから昔に戻っただけともいえる。この騒ぎを逆手にとって、本来の落ち着きのある京都を堪能しに来てもらいたい」という——。

新型コロナウイルスの影響で京都から外国人観光客が消えた

こんな静かな京都は何年ぶりだろうか。

四季を問わず、常にごった返している右京区嵯峨の「竹林の小径(こみち)」。春節が終わった直後の今週(2月2日〜)、観光客の姿がうそのように消えていた。特に中国人(あるいは台湾人)や韓国人が見当たらない。

昨年来、続いている国家間の関係悪化によって、まず韓国人がいなくなった。そして今回の新型コロナウイルスの感染拡大騒ぎである。中国政府が団体旅行の禁止措置にでたのが先月27日のこと。それでも春節期間中(1月24日〜30日)は、個人旅行客らでそれなりににぎわっているように感じたが、それも終わると中国人旅行者が一気に消えた。

竹林の小径では、個人旅行の欧米人や、ヒジャブ(ムスリム女性が頭部などを覆う布)を着用したイスラム圏からの旅行者が、美しい竹林を背景にシャッターに収まっていた。地元民の私も、思わずスマホのカメラで一枚。こんにち、“無人の”竹林の小径を撮影することはほぼ不可能だ。だから掲載の写真は、かなりレアな一枚だと思っていただきたい。

本稿では「コロナ騒動」の前(主に2018年夏)と現在(2020年2月)にそれぞれ筆者が撮影した嵯峨・嵐山の様子を見比べながら、読み進めていただきたい。

渡月橋(2018年夏)と現在(2020年2月)
撮影=鵜飼秀徳
渡月橋(2018年夏)と現在(2020年2月)