主に孤独死・自殺・殺人現場などの室内清掃をする「特殊清掃」に注目が集まっている。新型コロナウイルスの除染現場での需要が急増しているのだ。ジャーナリスト・僧侶の鵜飼秀徳氏は「横浜に停泊したダイヤモンド・プリンセス号など、さまざまな現場からクリーニングの依頼が来ている。ただ、新規参入の中には除菌やノウハウのない業者も多い」という――。
ダイヤモンド・プリンセス号の「特殊清掃」を任された業者の告白
新型コロナウイルスの感染拡大防止と除染において、ある業界の技術にひそかな注目が集まっている。「特殊清掃」と呼ばれる業者である。いま、彼らは多数の感染者を出したクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号(以下、DP号)の洗浄作業を実施するなど、さまざまなコロナウイルスの除染現場でフル稼働中という。
DP号は乗客全員が下船し、3月23日現在、横浜・大黒埠頭に停泊中だ。目下、急ピッチで船内の清掃・消毒作業が実施されている。清掃作業の元請け企業は、米国ベルフォア社。2011年の東日本大震災での活動など世界各地で災害復旧作業を専門に扱うグローバル企業である。DP号を運営するプリンセス・クルーズ社のジャン・スワーツ社長は2月下旬、「本船の隅から隅まで清掃と消毒を行なっていただけるパートナーを探しています」とコメント。米国、欧州各国から清掃スタッフが入り、24時間態勢で清掃作業が続けられている。
船内のタオル類、寝具、マットレス、シャワーカーテン、ゲーム機器などのおもちゃ類、本、パズル、カード類はことごとく処分され、新しいものと交換される予定だという。
国内からも、除菌作業・特殊清掃作業を行なっている企業や派遣会社などからスタッフが数十人、大黒埠頭に駆けつけた。
欧米の清掃業者およそ150人とともに24時間態勢で全長290m、総客数1337室、16階建てという巨大船を完璧に清掃・除菌する。